11月最終週の相場は、ほとんど予想通りの感謝祭で、米国の市場参加者が総じてお休みということもあり、ドル円もユーロドルもほとんど動意のない相場となりました。

ただドル円は、週前半から109円台を回復させて109.690円を超えるレベルまで29日のNYタイムに動きがあったものの、株が利益確定売りに押されたこともあり、109.400円台で週の取引を終了しています。

米国では、利益の出ているファンドマネージャーなどは、ここからそのままクリスマス明けまで休暇に入りますので、市場に出てくるのは今年成績が芳しくない連中だけということになり、ボラティリティのない時期に仕掛け的な売買がでることにも気を付ける時間帯になりそうです。

ドル円1時間足推移

週明けは一旦110円方向の上値を試しそうですが、米中通商協議は依然として合意に達しておらず、トランプ大統領が香港人権法案に署名したことから、逆にこじれて交渉がとん挫するといった事態に陥るリスクも残されており、ニュースヘッドラインに相場が脅されるリスクもありそうです。

米中の状況はニュースの観測報道は多いものの、当事者のトランプ、中国首脳からの直接の声が出てこないことから、先行きの様子がよくわからないのが実情で、合意までは当分神経質な相場が続きそうです。

ユーロドルもさすがに動かないままの一週間ということで、週明けに新たな動意がでるのかどうかに関心が集まりますが、こちらも米中協議次第のところが大きく限定された値幅ではありますが、上下動は引き続き継続しそうな雰囲気です。

ファンドの年末閉鎖に伴う反対売買にも注意

12月相場でもなんとか恩恵が得られるのは12月14日位までということで、それ以降はさらに市場参加者が減少しそうな状況です。

そんな中でひとつ気をつけなくてはならないのがファンドの閉鎖、解散に伴うポジションの整理、売却の問題です。

今年はとにかく儲からないファンドが多かったようで、例年に比べても一段と閉鎖や破綻に追い込まれるところが多くなっているようです。

一般的にはぎりぎりにならないと閉鎖の情報は公表されないので、外部からは動きがはっきりわからないことが多いわけですが、グローバルマクロファンドでリスクパリティ戦略をとってきたようなところでは、驚くほどの種類の市場・商品に投資を行なっています。

解約時ならば利益の出ているものだけ利益確定するわけですが、閉鎖であれば利益が出ていても出ていなくても一斉に手じまいを行うことになるため、思わぬ相場の動きとなりそうです。

これは為替の領域でも同様で、これまで保有していたポジションの反対売買が急に現れるリスクにも備える必要がありそうです。

あまりにも楽観的な相場に対する調整局面も大きな注意ポイント

米国の株式市場はFRBの隠れQEの効果もあってか、総楽観の相場状況に陥っており、年末さらに上昇することを期待する市場参加者が多くなっています。

特に休みもとらずに市場に残っている連中は、もう一段買い上げることで利益を上積みしたいと考えているのは間違いなさそうな状況です。

あまりにも早く上昇しすぎている相場は、何か想定外のことが発生して逆方向に動くことになった場合、流動性がない時期だけに大きく反転下落してしまう可能性も高く、この12月の初旬は株価のそうした予想外の動きに為替も付き合わされるリスクをよく考えておく必要がありそうです。

先ほどのファンドの閉鎖に伴う処分売りが重なれば、想定外の大きな動きになることもありますので、気を抜かないトレードが必要になりそうです。

何事もなければ株はじり高が続き、ドル円も年末に向けて多少は上昇を期待できる部分もありますが、だいたい思った通りに動かないのが相場です。思った通りに動かない場合でも、しっかり損失を限定するようなストップロスを置くといった予防措置が重要になります。

何事もなく年末まで、このまま上昇相場が続けばそれに越したことはありませんが、念のため常に気を抜かないことが肝心です。

すでに12月相場は、かなり限定的な参加者の中だけで動くことになりますので、とにかくあまり無理をせず、方向感が見いだせないときには、静観するといった姿勢も重要になりそうです。

闇雲に取引してしまうとかえって証拠金を失うことになりかねません。
わからないときには、相場にエントリーしない勇気も必要です。