19日のNYタイム、ドル円は大きく上昇をはじめかなりのストップロスを巻き込む形で110円台を駆けのぼり、なんと11.593円という高いレベルまで上昇を果たすこととなりました。

さすがに戻り売りで対応していたショートのポジションはほとんどがあぶりだされる形となり、プロから個人投資家までドル円のショーターは相当な損失を食らう結果となっています。

チャートを見ていますと単にリスクオン相場で広範にドルが強く、ドル高円安が一気に加速したとも見れるわけですが、どうも市場では常にリスクオフなら円が買われていた相場が一気に円売り相場へとシフトしたようで、これまでの状況とは異なる動きが示現してきたことが相場で話題になりはじめています。

安倍首相の政権運営と政府のリスク管理対応に市場は大きな疑問を呈する形に

こうした相場の動きが現れた背景としては2つのことが考えられます。

Photo Nikkei.com https://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXMZO5580498019022020000001&ng=DGXMZO55805000Z10C20A2000000&z=20200219

一つは消費増税後の昨年10月から12月についての四半期GDPが年率で6.3%という強烈なレベルまで縮減してしまったことで、安倍首相はしきりに消費増税に起因したものではないかのような答弁としていますが、海外のメディアでは完全に消費増税のタイミングの失敗により、アベノミクスが完全に終了してしまったことを伝えており、これを市場が嫌気している可能性は高そうです。

台風や暖冬のせいにしても増税が消費を落ち込ませたのは確実な状況で、世界的にみてもこのタイミングで増税などに踏み切ったのは日本だけですから、安倍政権の経済運営に問題ありという見方をされても仕方ない状況といえます。

Photo 朝日新聞 https://dot.asahi.com/print_image/index.html?photo=2020021100022_3

もう一つの材料となっているのは、横浜に寄港したダイヤモンドプリンセス号の新型肺炎の対策問題で、乗員乗組員計3500人以上を船内に閉じ込めたままオペレーションを行ったことから爆発的に感染者が増加してしまったことで、市場が日本のウイルスのようなリスクに対する管理能力をほとんど持っていないことが明白になってしまい、ここから日本全体で重大な感染国に陥ることを嫌気した円売りがでていることも考えられます。

いずれにしてもこれまでリスクオフといえば必ず安全資産の日本円に買いが入ったものですが、直近では完全にリスクオフでも円売りが顕在化してきていることが判る状況です。

このままリスク回避の時期に円が買われなくなる相場が定着することになりますと、為替市場にも大きな変化が現れることになり非常に注目されるところです。

日銀の緩和期待からのドル円の買いも並行して示現か

市場ではこうした日本のリスクを勘案した円売りとともに、増税で経済的なダメージがかなり大きくなっていることに加え、足元の新型肺炎による景気の下押しが想像以上に大きくなりつつあることから、日銀がさらなる追加緩和を投入してくるのではないかという期待が高まりをみせており、これが日本株とドル円を支えているという見方もではじめています。

たしかに追加緩和がこの時期に投入されることは十分に考えられますが、すでに国債の買い入れは限界、ETFによる日本株買いもピークに達しており、マイナス金利はほとんど市場に影響を及ぼさないことから、果たして日銀がこのタイミングに積極的に追加緩和を出してくるのかどうかも注目されつつあります。

いずれにしてもドル円は過去4年に及んだ壮大な三角持ち合いを上抜けており、このまま上方向に抜けることになるのかどうかが注目されるところで、週末の終値からの週足ならびに月末の月足の終値がどうなっていくのかに市場の関心が集まりそうです。

長く動かなかったドル円相場でしたが、とんだ材料から次なるトレンドが発生しそうな状況で、引き続き相場を注視していくことが必要な時間帯です。