米株市場はFRBが無限大の緩和、いわゆるQEインフィニティの政策を鮮明にしたことから3月暴落の半値以上まで値を戻し、ここからさらに上昇しかねないコロナバブルに浮かれ始めています。

市場では仕事にあぶれたミレニアル世代が祈るように、この相場でFANG+マイクロソフト株に集中投資を行っているようです。

ウォール街のマネージャーやヘッジファンド勢の一部も同様の動きで、FRBが強力に下支えする相場に賭けて一儲けを企んでいるようで、今のところは二番底を探るような下向きの動きは見られていません。

その一方で長く市場にとどまり、大きな利益の獲得に成功してきた米国の著名投資家たちが次々と市場から撤退を決め込みはじめ、相場の動きと全く正反対の動きを顕在化させています。

バフェットはさらに株を売って現金化を加速

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相場が暴落すると莫大な現金資金を背景にして、おもむろにただ同然の株を取得しては凄まじい利益を獲得することで知られるバークシャーハザウェイのウォーレンバフェットは、既に5つの航空株を投げ売りし日本円にして5兆円規模の損失を出しています。

しかし5月にはさらにゴールドマンサックス株を今年の第一四半期に84%減らし、192万株の保有としてことを開示し話題になっています。

このゴールドマンサックス株も2008年のリーマンショック後に請われてただ同然で取得したものですから、3月の下落後に売却したとしてもそれなりの利益は確保できたものと思われますが、とにかく驚くほど保有株を現金化する動きをみせています。

ウォーレンバフェットが株買いの指標としているとわれるバフェット指数は直近では134.3%を示しており依然として割高な水準となっていますが、すでに米国の第二四半期のGDPはアトランタ連銀の予想ではマイナス42%超ですから、株価がこのまま推移するなら株式時価総額を名目GDPで割って100をかけて算出しているバフェット指数はさらに割高になることは間違いなく、一旦て持ち株を売却してさらに現金比率を高めることで次の暴落に備えていることが窺われます。

最新のバフェット指数

伝説のヘッジファンド運用者ドラッケンミラーも悲観的な見方

米国内では伝説的なヘッジファンドの運用者として知られるドラッケンミラーもここから先の米株相場に悲観的な見解を示しており、株式のリスク・リターンはこれまでの職業人生で見た中で最悪だと指摘し、ここからS&P500は少なくとも4%または5%程度の下落を予想している状況です。

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87年のブラックマンデーをエリオット波動とアナログチャート分析で見事にその転換点をあてて大儲けをしたことで知られるチューダーファンドの創設者・ポールチューダージョーンズも、今の相場にはかなり否定的な見解を示しており、決してコロナバブルの相場に追随しようとしていない姿勢は鮮明です。

経験の長い投資家ほどこの相場に乗らない状況

何度も暴落をかいくぐって投資経験の長い著名投資家ほどこの相場には乗っていないのが気になるところで、これだけのパンデミック大恐慌なのに相場がまだ40%程度しか下落していないことにかなり懐疑的になっていることが窺われる状況です。

怖い者知らずの初心者はバブル相場の最終局面にまったく臆することなく買いあがるので大きな利益を得やすいとよく言われますが、その反面で降りるべきタイミングを逸してしまうことから、結局損失を被りやすく儲けを飛ばしてあえなく退場というケースが多くなるのは厳然たる事実のようです。

そういう意味では投資経験の豊富な層は、あえてこの不思議なバブル相場に乗らずに次の大きな下落を淡々と狙っているということがわかります。

個人投資家は果たしてこうした状況でどうすればいいのか判断の迷うところです。

為替のデイトレやスキャルピングなどは全く関係ないとしても、どこかでいきなり反転暴落を始めるタイミングに遭遇しないように、あるいは遭遇しても損切をあらかじめいれておくことで多くの証拠金を失わないような工夫がさらに必要になってきていることを感じさせられます。

相場の取引は一段と難しい時間帯にさしかかっているようです。