6月第二週の8日からの週は為替市場全体がリスクオンの雰囲気となり、ドル円は107円台から108円を駆け上りすでに109円まで上昇するという動きを示現しました。
5月末から延々と下値の堅い状況を続けてきたドル円は、株式市場のリスクオンに影響を受けたのか大した理由もなく108円台をキープし、米国雇用統計での良好な結果を受けて110円一歩手前まで上昇する運びとなりましたが、さすがに一回で110円を超えるほどの勢いはなく109円台中盤で週の取引を終えています。
実際の動きは2円30銭程度ですからものすごく動いたわけではありませんが、5月以降ずっと狭いレンジ取引となってきただけに一旦抜けた感は強く、しっかりトレンドがでてきている状況にあります。
ドル円は雇用統計を受けてさらに上伸、110円を超えてどこまでいけるか
米労働省が5日発表した5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数は事前予想では大幅なマイナスがアナリスト予想として想定されていたにもかかわらず、結果は250万9000人増というまさかのプラスとなり失業率も改善する結果となりました。
これを受けてドル円は大きく上昇することとなり、110円一歩手前まで値幅をアップさせていますが、一回では110円を抜けることはできず週明け以降にどこまで上昇できるかに注目が集まることとなってきています。
ただ、110円から上は過去にも何度も止めらている水準ですからすんなり上昇することが期待できず、また輸出勢やソフトバンクグループなどのドル売り円買いも待ち構えていることから、まずは110円を抜けることができるか、さらにこのレベルを定着させられるかどうかが大きな注目ポイントとなりそうです。
これが抜けられるとなれば、今年3月24日に大きく戻した111.700円レベルがターゲットとなってくることが考えられます。
追加緩和で上昇したユーロも賞味期限がきになるところ
一方ユーロは、ECBが4日の木曜日に開催された理事会において追加緩和を決めたことでユーロの買い戻しが加速し、6月5日の午後3時すぎには1.13835の高値まで戻る疎きとなりましたが、その後は米国の雇用統計を受けてドルが変われる動きとなり1.129レベルで週の取引を終えています。
米雇用統計を受けてどこまでリスクオン相場が続くのかに注目
トランプ大統領は5日に発表された雇用統計の結果を受けて会見を行い、米国史上最高の復活の日などと言いながら経済のV字回復を確信したような発言を繰り出しています。
さらに議会に働きかけて財政出動や緩和措置を進めるとも公言していますが、市場では本当に今回の雇用統計の結果が正確なものなのか検証すべきという声も上がっており、すでに当局からは失業率が間違いであった旨の訂正情報も示現しはじめていることから、市場がリスクオンに大きく傾くことを継続するかどうかに関心が集まりそうです。
株式市場を中心にして強気の市場関係者は、当面このコロナバブルは継続すると見始めているようで、さらに上値を狙う動きをした場合には為替もリスクオフが継続することが考えられます。
ただ、さすがに株式相場は日米ともにいい線までやった感がありこのまま最高値を更新するような動きになるとは考えにくく、雇用統計の数字はよくてもそれ以外のGDPをはじめとするハードデータはかなり厳しいものが次々と現れていることから、どこかでいきなりリスクオン相場が終焉を迎えることにも注意を払う必要がでてきています。
とくに市場全体が総楽観になった場合には結果反対方向に相場が動くことは十分にありえますから、ここからの動きには注意が必要になりそうです。