6月11日、東京タイムから株価は軟調に推移し、その後のNYタイムには米株三指数ともに大きく下落する暴落といっても過言ではない状況が示現することになりました。

きっかけは全日のFOMCの結果発表の会見でパウエル議長が今年の米国のGDPがマイナス6%以上になりそうであることを示唆したり、新型コロナの二次感染のリスクが高まったことなどがその理由に挙げられていますが、日本のメジャーSQのタイミングを含めて投機筋がいきなり売りに回ることで退去して市場に参入してきた個人投資家勢が一斉に投げざるをえなくなり、流動性パニックから相場が大聞く下げたとみるのが実は事実に近いのではないかと思われる状況です。

NASDAQは瞬間的に10000をつけていますからかなりいい線まで買いあがったですし、下落のタイミングとしては絶妙なものがあったと言えます。

S&P500推移 Tradingview
NASDAQ100推移 Tradingview
NYダウ推移 Tradingview

それぞれのチャートを見ていただくと判りますが、S&P500 とNYダウはここ数日はほぼ天井圏に張り付く動きをしていましたが木曜日の下落は史上4番目の下げとなったようで、決して緩やかな調整とはいいがたい下落を示現していることがわかります。

また、NASDAQ100はとにかく年初来からどんどんと上昇し全日の10日は一時的に10000ポイントすらつける勢いでしたから一旦調整という時間帯にさしかかったこともあり、こちらもそれなりの下落を余儀なくされています。

日経225推移 Tradigview

メジャーSQを迎えた日経平均のほうはもちろん同様の下げを食らう形にはなっていますが、2万2000円台を回復したりする場面もあり、米株に比べると下げの圧力はそれほど大きなものではなかった印象があります。

とは言え、2万3000円を回復する場面もあり個人投資家で買い向かった向きでストップロスを置かずにポジションを放置していた人たちはそれなりにやられた可能性が高そうで、週明け以降追証が発生して相場が停滞、さらに下落する可能性を考える必要がありそうです。

この手の暴落の理由や背景は暴落という事実がニュースを作っている可能性が高く、後付けの理由は必ずしも正しくない無理やりの理屈になっていることが多いものですが、今回もどうもそんな印象が強くなっている状況です。

問題はこの下落が一時的調整なのか二番底、大底をつけに行く動きかどうか

ここから気になりますのは今回のかなりの値幅をもった下落がそれでも一時的調整なのか、さらに上下動を繰り返しながら下値を模索する2番底狙い、もしくは大底狙いの下げ局面への突入なのかということになります。

アナログチャート分析

毎回ご紹介しているアナログチャート分析によれば、ダウの動きと1929年当時からのダウの動きは非常に似通っていますが、足元のダウのほうが上下動の動きが速くしかも全体として下落までのスピードは1929年の2倍近い速さになっていることから、ここからジグザグの動きを経過しても時間をかけて下落局面に突入する可能性が十分にあり、今後の相場の動きを引き続き注視する必要がありそうです。

仮に下げ3波の3波目がはじまったとすれば、迂闊に押し目と勘違いして買い向かうのは非常にリスクの高い売買となりますので十分に気を付ける必要がありそうです。

米国は今年2月まで実に128か月も連続して景気拡大を果たしてきたわけで、3か月や4か月で景気が完全に元に戻るとは到底思えない状況です。

また、先行してなんの脈絡もなく需給だけで上昇してきた相場も個人投資家主体となれば売りが加速するのも無理はなく、ここから再度上昇軌道に乗るのかどうかはより時間をかけて様子を見る必要がありそうです。

市場では既に2番底は到来しないとか、株式市場は先の先まで織り込んで上昇に転じているといったさしたる根拠のないような楽観論を唱えるアナリストも目立ちはじめていますがそうした言説にただのっかるだけではなく、ファンダメンタルズとテクニカルが合致したところでトレードをしていくように心がけることが一層必要になりそうです。