6月第四週のドル円相場は、22日から26日という短期間でかなり上下にブレる動きが加速し、投げと踏みの応酬ではからずも大きな損失を食らうことになった個人投資家が多かったように見受けられます。

週明けは経済指標も多く発表されますが果たしてこの相場に方向感が現れるのか、逆に107円を挟んだ動きになるのかに市場の関心が集まることになりそうです。

ナヴァロ発言とSBGのTモバイル株売り報道でドル円は下落

Photo Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-23/QCCX8WDWX2Q401

6月23日の東京タイムにブルームバーグが、ピーターナヴァロが中国との通商協議は終わったと発言しとされる報道をしたことから米株の先物が大きく下落をはじめ、日本株もドル円もそれに巻き込まれるかのように大きく値を下げる展開となりました。

また、同日株式の売却で債券の圧縮と自社株買いの実施を表明しているソフトバンクグループがTモバイル株、1億9831万株、日本円にして2兆円超を売却するという報道がでたことから、円転需要がでるという憶測が流れこの二つの材料でドル円は、同日のNYタイムの前までに106円割れ寸前のところまで下落することとなりました。

ドル円相場はショートが溜まり過ぎで大きく跳ねる展開に

ドル円1時間足推移

ただ、106円から下にはかなりの額のドル買いのリーブオーダーがあり、割れることはできずにショーカバーがでて106.600円レベルまで戻されることになります。

ナヴァロ米大統領補佐官がなぜこのタイミングに市場を動揺させるような発言をしたのか判りませんが、NYタイムに「第1段階の対中貿易合意とは全く関係ない」発言であり、第1段階合意は「なお有効だ」と必死にコメントに対する釈明をし、トランプも打消しに躍起になったことから一旦のリスク懸念は解消される形となりました。

また、ソフトバンクグループのTモバイル株売却も発表される段階ではある程度円転資金繰りの準備が既に整っていることも考えられることから、実際の市場では明確なドル売り円買いが示現しているわけでもなく、結局こちらも市場の勇み足の雰囲気が強い相場になってしまったようです。

この二つの材料で大きく値を下げたドル円は、結局市場参加者が売りポジションに傾き過ぎたことから徐々に下落しない動きとなり何度もショートカバーを誘発して次々と逆に高値を更新する動きになってしまい、25日の東京タイムにはすっかり107円台が定着する動きとなりました。

同日のロンドンタイムの最後になる午後9時には、ストップロス狙いと思われるロンドン勢の買いがでて107.459円レベルまで跳ねる動きとなりましたが、逆にその上の107.500円レベルには相当な売りものが並んでいたことからこれを乗り越えることはできず、今度は利益確定売りなどもでることになり、26日の東京タイムではほとんど上値を試すことができなくなり、同日のロンドンタイムには106.800円台にまで下落するという全く逆さまの動きを見せました。

週末ということでそれ以上の動きは期待せきない状況でしたが、26日の米株市場では新型コロナの感染が再度爆発的に広がるのではないかという観測から、三指数ともに大きく売られる形となり株の売却資金をドルで保有したいとするドルキャッシュ派が市場に台頭したことから、リスク回避でありながらもまたドル円は上昇し107円台前半で週の相場を終えています。

後からみればそれほど大騒ぎするようなチャートではないのですが、実際の相場にいた個人投資家は判断を誤って売ってやられ買ってやられに巻き込まれた可能性はかなり高そうで、想像以上に相場は傷んでしまった感じです。

ドル円では結構みかける相場状況であり、思った方向ぬい下げないことになれば思わぬショートカバーで高いレベルまで値を戻すことがあるという点には気を付ける可能性が必要になりそうです。

また、上昇相場もストップロスハンティイングだけで上昇した場合にはさらに上抜けている力が乏しくなることも考えられることから、買い向かいにも注意が必要であることを強く思い知らされることとなりました。

ドル円は当面107円台を挟んだ動きが継続することも考えられ、決定的な材料からトレンドが発生しないかぎり上下のレンジ相場継続を覚悟する必要がありそうです。

ユーロドルはユーロ圏の経済回復期待が高く復調気味

ユーロドル1時間足推移

一方ユーロについては23日のドルの下落で大きく値を上げたものとそれも長続きでせずに元のレベルに戻る動きとなりました。

新型コロナウイルスに関しては、一旦ユーロ圏の経済的なダメージが収まって回復基調が強まるのではないかという期待が先行してユーロドルでも中長期的上昇期待から買われる動きがではじめています。

ECBのラガルド総裁も新型コロナにともなう危機の最悪期は脱したものと思われるといった発言をしたこともユーロの下支えになっているようです。

ただ、スウエーデンやフランスなどでも新規の感染者数、死亡者数とも増加に転じていることから現象的に感染者数が少なくなってもそれが収束と関係ないだけに、この先ユーロが安定的にう上昇するかどうかはまだまったくわからないのが現実です。

いよいよ7月相場だが相変わらず方向感に決め手はない状況が継続か

週明けからはすでに7月相場ということになり、今年も年後半のことを考える必要が出るタイミングですが、為替市場に関する限りなかなかトレンドが出にくい相場が続きそうで、当分飛び出す材料次第で上下動が激しくなる展開が継続しそうです。

7月第一週は米国の独立記念日の休日の関係から雇用統計が7月2日に発表となり、発表後も1日相場が継続することには注意が必要になりそうです。