7月第二週、ドル円は107円台中盤から前半に実に多く設定されていたオプションにより動きを阻まれることとなり、連日107円台の狭い領域を上下するという非常にトレーダー泣かせの相場を展開することとなりました。

当初は107.500円レベルに巨大なオプションが設定されていたため、これを見合いにした売買が頻発し結局107.500円レベルに収れんする動きとなりましたが、週後半に向けて多くのオプションがNYタイムに満期を迎えていったことから徐々に上値が重くなり、とうとう10日の東京タイムには107円を下抜ける動きとなり同日のNYタイムには106.639円まで下押す場面がありました。

しかし、週末ということでそれをさらに下押すまでの勢いはなく結局107円台一歩手前で週の取引を終了しています。

ドル円1時間足

ユーロドルは週初1.1242レベルからスタートしましたが週後半に向けて株高、ポンドの急上昇などでリスクオンのドル売りが進んだことから9日には1.13706まで上伸する動きを見せました。

ただ、新型コロナの感染者数の増大などあって押し戻される展開となり、10日にはロンドンタイムに1.12547まで下押しする展開となり、週末ということもあって買い戻され1.13レベルで週の取引を終えています。

ユーロドル1時間足推移

ユーロドルはドル円に比べれば多少は動きがあるような推移に見えますが、短い時間足ではそう見えても結局のところ日足ベースでは6月から狭いレンジを延々と上下しているだけで明確なトレンドが発生しているわけではありません。

全体的に相場は為替がテーマにはなっていないことから、リスクオンになってもリスクオフになっても大きなトレンドが出にくいレンジ相場を延々と形成中でしたが、これが週明けに変化していくかどうかに注目が集まります。

ドル円は週明けさらに下値を試す下落トレンドがでるかどうか

ドル円は主要通貨ペアの中でももっとも動かないペアになってしまっていますが、シーズナルサイクルからいえばここから8月にかけては円高になりやすいのが過去20年の季節性となっており、今年も同様の動きが示現するならばここからさらに下値を試す可能性が高まります。

ただ、3月の新型ウイルス起因の大暴落以降値を戻してからは一度も106円を大きく割る動きにはなっていないことから、果たしてこのまま下落トレンドがでて105円を割り込むような動きになるのかどうかに関心が集まりそうです。

ドル円日足 3月から足元までの推移

需給バランスから考えますと下値ではGPIFなどが外債投資のためのドル買いを出してくる可能性は高く、大きく円高になるとは思えない状況が続いています。

日米間の金利差からいいますとどちらかの通貨にバイアスがかかるような差はなく、大幅な円安が示現するとは思いにくい状況です。

せいぜいここから105.500円レベルまで下押しすればかなり上出来の円高相場になるのではないでしょうか。

ただし、昨年9月末から延々と続いた短期のレポ市場でのドルキャッシュ需要はさすがに3月以降のFRBの過剰ともいえる供給策が功を奏してかかなり一巡しており、逆にトランプ政権が新型コロナ対策で実施している様々な財政政策で膨らむ借金はすべてが国債の発行で賄われることになるため、さらに長期金利を下げるYCCのような政策が導入される可能性は一段と高くなっています。

さらに債務を減らすためにドル安を政治的に演出してくることも考えられることから、ドルだけが上昇するとは考えにくい雰囲気が高まりを見せていることもまた事実です。

こうなるとやはりドル円は下方向を意識しておくことが重要になりそうで、週明け以降の相場にその兆候が表れるかどうかに注目していきたいと考えます。

為替相場全体としては各通貨ごとの金利差が非常に狭まっており、差異がないことから非常に動きにくい時間が続いています。

また、中央銀行が無理やり株価を人工的に値付けして動かない相場になっていることから、株も為替も値幅調整よりは日柄調整になりやすいことも非常に取引をやりにくくしています。

ここから8月にかけて例年のような動きが明確に示現することになるのかどうかは、為替取引では非常に大きなポイントになりそうです。