いよいよ週明けから国内相場はお盆休みに突入し、さらに閑散とした動きになることが予想されます。

そんな中でトルコリラ起因による相場の大幅下落からドル円が、下落に巻き込まれることには注意が必要になりそうです。

すでにこのコラムでもご紹介しております通り、トルコの金融当局はここのところかなり力を入れて、ドルに対してトルコリラを買い支える介入を行ってきました。

しかし、すでに外貨準備は半減し日本円にしてい5兆3000億円しか残されていないことから、事実上介入ギブアップを示唆しており、週明けトルコリラはドルと円に対して大きく下落するリスクが高くなってきています。

トルコリラショックで思い出すのは2018年の8月のトルコリラのいきなりの下落で、トランプ大統領がトルコから輸入する鉄鋼やアルミニウムに対する関税を2倍に引き上げる経済制裁を発表したことを受けて、トルコリラは対ドルで5.55リラから6.87リラまで24%近く急落し、対円でも20円から16.10円まで20%弱急落することとなりました。

当然ドルトルコリラとドル円の掛け合わせであるトルコリラ円も大きく下落しその影響をもろに食らう形で、ドル円も8月13日には午後に一時110.11円まで下落することとなり月初から2円近くも円高が進行することとなりました。

これがちょうどお盆休みと重なっていたことは記憶に新しいところです。

トルコリラ安はもっぱら自国に起因するもので、外貨準備が急激に減少していることに加え、外国資本の流出に歯止めがかからなくなるような金融緩和の実施がリラ安を強くサポートする形になってしまっている点が大きな問題となっています。

通貨当局は本来利上げで対応すべきところを為替介入だけで、何とかしようとしたことが完全に失敗の原因であるだけにここからの下落の加速が危惧されるところです。

ドル円は上値が重たいままお盆休みに突入

7日に発表された米国の雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが前月に比べて鈍化したものの前月比176万人増となり、失業率も10.2%に下落したことから瞬間的に105.85円レベルまで跳ね上がることとなりました。

しかし、反応はかなり低調でそれよろもむしろ一時的に相場がリスクオフの動きとなったことから、106円台に回復する場面も見られました。

ただ、お盆を控えてすでに106円台には本邦実需の売りも並んでいたのかさらに上伸することはできず、105円90銭台で週の取引を終えています。

雇用統計は新型コロナ感染以降非常に市場でも注目されるようにはなっていますが、結果を受けては殆ど動かないのもまた事実で、取引するものにとってはもう一つ魅力に欠けるイベントになりつつあります。

ドル円1時間足推移

ユーロドルは反落も下値は堅い

ユーロドルのほうは、7月31日に1.19084の高値を付けてからさすがに利益確定などもあって反落したものの、下値での押し目買い意欲もかなり強く6日の東京タイムのお昼に再度1.19160をつける動きとなりました。

ただ、そこから大きく買いあがる材料もなく雇用統計待ちから調整し、結局1.17864レベルで週の取引を終えています。

テクニカル的には強さは残っておりさらに続伸の可能性を秘めていますが、ファンダメンタルズ的には必ずしも強い経済状況ではないだけに逆にこれが続伸を阻む材料になりかねない状況で、高いところで買いあがることは躊躇されるところとなっています。

ユーロドル4時間足推移

新型コロナの感染は止むところを知らない状況ですが、国内勢は製造業を中心として週明け一週間は確実にお休みとなることから、この状況を熟知している投機筋が仕掛け的な売買を強めてくるリスクには十分に注意したいところです。

その意味でも上述のトルコリラの動きが非常に心配で、国内でトルコリラ円を買い下がっているスワップ狙いのトレーダーも大きく相場が下落しますと、強制ストップロスをつけてさらに相場が下落するきっかけとなりかねないだけに、ドル円も含めて厳重な注意が必要な一週間となりそうです。

ちなみに2019年1月3日のフラッシュクラッシュも初動は、トルコリラ円の大幅な下落に起因していると言われますから、今回またしてもトルコリラの下落が相場の大幅下落の引き金を引く危険性は常に意識しておくべきでしょう。

米系のファンド勢はこの時期しっかり夏休みに入るのが例年の状況ですが、今年の場合新型コロナの影響でバケーションに海外に行ける可能性は極めて低く、例年にはない動きが国内にとどまる形で相場にちょっかいを出してくることはありそうです。

実際米株相場は夏枯れ感はあまりなく、個人投資家が延々と相場を支えている状況となっていますので、明らかに通常の夏とは違う相場が示現し始めています。