国内では菅首相の日本学術会議の任命人事で6名を除外したことが大きな問題となり報道はすっかりそれに終始する形となっていますが、実はこの間中国が尖閣諸島の領有をめぐってかなり暗躍する動きをみせており、国際的にも大きな問題になってきています。
国際世論まで動かして尖閣諸島の奪還に動こうとする中国
中国はこれまで幾度となく台湾海峡を責めあげて台湾に近づこうとする動きを見せてきましたが、どうやら今回は中国本土から最も遠くしかも台湾と日本の沖縄に極めて近い尖閣諸島を自国のものとして確保することの優先順位を上げたようで、この魚釣島の主権が中国に属するということを歴史的根拠から古い文献資料、法律文書などを持ち出してネット上で大々的にアピールすることで国際社会の理解を得る作戦を展開し始めています。
また、その一方で頻繁に中国系船舶がこの地域に頻繁に姿を現しはじめており、強引に自国領土として奪還しかねない状況になっています。
直近ではマレーシアを報恩した中国の王毅外相が、ASEANは南シナ海んどで緊張を掻き立てる米国の戦略に警戒を怠らないようにすべきであるとった威嚇発言をしており、対立の構図は想像以上に強いものになろうとしています。
ポンペオ国務長官の来日は中国へのけん制が狙い
今月6日、新型コロナも収まっていない中、わざわざ対面の形で東京で日本、米国、オーストラリア、インドの4ヶ国外相による安全保障会合「クアッド会議」が開催されその目的は明らかで、アジアにおけるNATO軍のような形で中国を包囲していくことに大きな願いがあるものと思われます。
中国が尖閣を巡って軍事衝突する可能性は決して低くない
これだけ成熟した国際社会ですから、超大国が迂闊に戦争を仕掛けてくるとはにわかには思えない状況ですが、最近の中国の動向を見ますとインドとも小競り合いを繰り返しておりますし、本格的な戦争にはならなくても軍事衝突が起きる可能性は決して否定できないものがあります。
今回東京に集まったインドもオーストラリアも米国同様海軍を持っていますから、有事になれば中国と渡り合う危険性はきわめて高く、万が一そうした事態に陥った場合、日本は一体どう対応するのかが非常に大きな注目を集めることになりそうです。
戦後日本はそうした他国との軍事衝突を経験したことはありませんから、地政学リスクといってももっぱら受動的なものでしたが、尖閣諸島でことが起きた場合には株や為替がどう動くのかも非常に気になるところです。
とくに為替に関しては地政学リスクの当事国になりますが本土で何かが起きるわけではありません。
初動はアルゴリズムが動いてドル円は売られて円高に動くことが予想されるところです。
しかし、日本が中国との武力対立に関与することになれば話は別で、ドル円は円が売られてドルが買われるという局面を迎えることも十分に考えられ注意が必要です。
菅政権は影で人事をコントロールする親中派の二階幹事長も存在していますので、果たして対中でどこまで強硬姿勢を貫くことができるのか、米国やオーストラリアと同調した行動がとれるのかも非常に大きな問題になりそうです。
米国大統領選年の10月は想定外の事態が起きることが非常に多くなりますが、この中国の尖閣列島奪還の動きが顕在化することで新たなオクトーバーサプライズになった場合、市場にも相当大きなインパクトを与えそうな状況です。
今後の推移からは目が離せない時間帯に入ってきているのが現状です。