11月第一週米国大統領選挙を経て株式相場はすっかりあく抜けしたのか、開票の混乱を尻目に米株も日本株も大きな上昇を見せており、2000年の時のような先行き不安からリスクオフで大きく売られるという動きは今のところ全くでないというかなり意外な展開になっています。
仮にバイデンが勝利したとしても、事前に予測されてきたように上下両院すべて民主党のトリプルブルーウェーブといった極端な状況はどうやら実現せず、新型コロナの感染が続く限りは逆に政権、政府の財政政策の継続とFRBの無制限緩和措置が延々と続くことと市場参加者が読み込んでしまっていることがこうした相場の動き繋がっていることが予測されるところです。
本当に楽観的な見方でいいのかという問題は残りますが、ここから米国の感謝祭がある11月末あたりまでは何事もなかったかのような堅調な相場が図らずも継続しそうな雰囲気になってきています。
上述の2000年のブッシュ対ゴアの醜悪な開票に関する泥仕合での株価の下落から考えると状況はさらに悪化しているものの、隔世の感があることを強く感じさせられます。
こうなるとここからの為替相場の動きがどうなるかが気になりますが、週明けは個別の通貨によってやはり影響を受ける材料は異なることが予想され引き続き注意が必要な一週間となりそうです。
ドル円は大統領選決着で上昇に転じるかがポイント
ドル円は米国大統領選挙の開票状況から著しくリスクオフに陥るといった動きは見せていません。
逆に英国中銀が利下げも緩和措置も政策決定会合で発表しなかったことから、ポンドが驚くほど買い戻されそれに影響を受けてドル円が下落したり、ユーロ円が下落したりした影響などから104円台を維持できなくなりとうとう103円台に突入し、6日は完全にもとに戻る動きもでなくなり、むしろ103円割れを目指す動きが継続しました。
さすがに週末ということもあり103円を簡単に割ることはありませんでしたが、テクニカル的にチャートの形状を見ますと、さらに下ねを試しそうに見える状況です。
103円を割れますと、その下は今年3月の暴落につけた101.175円レベルしか抵抗になるものがないためどこまで下落するかを予測するのは非常に難しくなりますが、3月の新型コロナ起因の暴落はまさにリスクオフのフラッシュクラッシュ的な動きでしたから現状の下げ局面とはかなり状況が異なっており、103円以下の下落があったとしても比較的ゆっくりとしたペースで進んでいくことが予想されるところです。
また、日本の金融当局は104円割れからは相当相場の水準を気にしているはずで、直接的に介入を行うことはできないとしてもGPIFなどのPKO軍団を介して相場を再度104円台に戻す動きに出る可能性も十分に考えられます。
実際のところ6日のNYタイムでも103円を割ろうと画策するような動きは感じられましたが簡単には下抜けできておらず、すでに103円手前に大きなリーブオーダーが待ち構えていることも想像できる状況です。
ユーロもポンドもBREXITのリスクを抱えた一週間
米国大統領選挙とその後の混乱のおかげですっかり影が薄くなってしまった英国のEU離脱交渉問題ですが、現状ではなんら解決がついているわけではなくEUが希望している11月15日までの合意期限はもはや目と鼻の先といったところに差し迫っています。
残された問題は漁業権をはじめとしてかなり重要なものばかりで、ここから1週間足らずですっきりさわやかに解決する見通しなど全くなく、この期限を超えて11月23日から26日の欧州議会で合意して批准手続きに入ることができなければ合意なき離脱の確率が高くありそうです。
最終的には12月10日、11日のEUサミットでの合意がなければ完全にお仕舞という可能性が高まりますが、為替相場としてはそこまでを待たずに11月15日前後で再度ポンドが大きく下落し、ユーロもそれに巻き添えを食う危険性が高まりそうです。
ポンドドル、ユーロドルともに大きく値を戻す展開になっており、このドル安がドル円の大幅下落を示現させる裏の要素になっていますが、これが再度巻き戻しとなればドルストレートの相場に大きな反転がでるリスクも高まります。
相場は全般的に妙にリスクオンの展開で、各市場ともに都合のいい情報だけいいところどりして動いている感が強まっていますが、いきなりリスクオフが襲ってくる可能性は高そうで、引き続き十分に気をつける必要があります。