もはや当初の交渉期日から大幅に後ずれしている英国とEUのFTA交渉で、12月1日にEUのフォンデアライエン委員長が極めて厄介で難しく、今後数日間で前向きな結果を得る可能性はあると語ったことから、ポンドが一旦大きく買われる動きとなりました。
しかし、2日にはタイムズ・ラジオが英国とEUの通商協議について、水面下の最終決着に持ち込もうとする試みがあり、それは失敗に終わったと報じたことで一転してポンド売りとなり、完全に先行きが見えない状況に陥りつつあります。
公正な競争環境を監視する方法は最後までもめている状況
英国とEUが最後まで揉めているのは漁業権を含めて3つ程度と言われています。
そのうちのひとつの公正な競争環境の確保についてはどうも決定的に食い違う部分があるようで、残された数日の時間でこれを解決させるのはやはり難しそうな状況です。
英国は公正な競争環境の条件を認めず、独自基準の開発や変更に完全な権利を持つことを主張しているようで、それが損なわれる形でEU基準を受け入れると約束することは断固拒んでいるようです。
EUから離脱するわけですから、EUの段取りや法律にもとづいて問題を協議するのはナンセンスであると考えるのはある意味当たり前ともいえるもので、10日には開催されるEUサミットの前に両者の溝が簡単に埋まることにはならない可能性のほうが高まっているようにみえます。
フォンデアライエンEU議長は今後数日の展開を注視するとして、決定的な破断にはなっていないことを示唆していますが、その一方で合意はしたいがいかなる犠牲を払ってでもというわけではないとも語っており、両方のシナリオに対して十分な用意はできていると含みのある発言も行っています。
10日前には合意なきBREXIT確定の可能性も
欧州圏はクリスマスは何があっても確実に休暇をとるのが前提で、31日までが期限といっても実際に残された時間は来週のEUサミット開催時までで、批准のために加盟国各国の言語に書類を翻訳して賛成反対の決をとることを考えた場合、もはやこの10日に間に合わなければ事実上合意なきBREXITが確定となる可能性は高くなりそうです。
31日の期限は加盟国が集まって決めたもので簡単に後ずれさせることはできず、ジョンソン首相も実はもはや合意なき離脱を完全に覚悟していることも考えられる次第です。
仮にこの合意なき離脱が決定した場合、ポンドは相当な下落が予想されます。
ポンドドルでいえば簡単に1500ポイント程度までは下落する危険性はありそうで、対ドルで1.2を下回るといった劇的なレベルへの下落もまんざら夢ではなさそうです。
ポンド円も同様にダメージを受けることになりそうで、さすがにこのタイミングで破断を想定して売り向かうというのもかなりのリスクで、この場面でどうトレードするかは悩ましいものとなりそうです。
いつもはっきりしないEUのことですから、何か部分合意ということでお茶を濁すこともありそうで、部分合意というのも相場では決して好感されない可能性があり、相場の動きがどうなるのかが懸念されるところです。
いずれにしてもこの数日で何等かの結論がでるのはほぼ間違いなさそうで、迂闊にポジションをもって決定的な場面に向かわないよう注意しなくてはならない時間帯が到来しそうです。