12月に入ってドルインデックスは一段と下げる動きを見せており、とうとう2015年から続いてきたドル高に大きな変化が訪れる可能性がでてきています。

ドルインデックスがここから明確に90を割り、88をさらに下抜けて80に到達する様な動きとなった場合には、想定する以上の大相場の動きになることも意識する必要がでてきているようです。

先週の5日間をみてもドルインデックスはじりじり下げを進めており、それに呼応するかのようにユーロが上昇を開始しています。

今のところドルストレートすべてでドル安になるといった状況ではありませんが、ユーロが大きく上昇をはじめていますし、BREXITの問題を抱えながらもポンドドルが上昇し始めているところが非常に気になるところです。

ドルインデックス推移

ドル円は足元ではもっとも取引き妙味のない相場

ドル円先週一週間の動き Data Tradingview

ドル円はもっとも相場の動きがはっきりしない状況で、下にもいかない代わりに上にも上がらないということで、当面103円と105円のレンジを行き来して年末を終える可能性がでてきています。

上げたらとにかく戻りを引き付けて売るという繰り返しで、どこかのタイミングで相場が下抜けるのを待つということが得策になるのかも知れませんが、ドル安が明確に示現されれば対円でも同様の動きがでるであろうことだけは覚悟しておく必要がありそうです。

ユーロドルは大きく上昇しそうな状況に

ユーロドル先週一週間の動き Data Tradingview

ユーロドルは1.2を超えたあたりで一旦叩かれて下に落ちる場面もありましたが、月足の120か月移動平均線1.2126レベルを明確に上抜けたものの、週末はBREXIT交渉不調を受けてその下に押し返されていますので、これが週明けにさらに盛り返していくことができるのかどうかに注目が集まります。

すでに1.22に迫るところまで上昇していますから、このままECB理事会などでよほどのユーロ高けん制発言がでない限り1.25という2018年2月レベルの高値まで大きく上昇する可能性も考えておく必要がありそうです。

これまでユーロドルもかなり長期に渡って狭いレンジ内を動いてきたので、あまり大きな上振れに相場が慣れていないのが現状で、上を突き抜ければ思わぬレベルまで上昇することが十分にありそうで、迂闊にレベル感だけで売り向かうのは危険そうです。

ポンドドルはBREXIT交渉次第だが解決がつけば1.35を超えて上昇する動きに

ポンドドル先週一週間の動き Data Tradingview

ポンドドルは12月第一週、瞬間的に1.35を上抜ける場面もありましたが、やはりUKのBREXIT交渉の行方が大きな重しとなって、週末は一旦下落して引けています。

ただ、この交渉が何等かの形で合意を見た場合もしくはまさかの継続交渉となった場合には、この1.35を抜けて大きく上昇する可能性が残されていることからこちらも注意が必要です。

逆にとうとう合意なきBREXIT決定ともなれば驚くほどの下落に見舞われる危険性があるだけに断定は禁物ですが、この問題がどうなるか次第で年末の動きが大きく変わることになりそうです。

冒頭にも触れましたがドルはこの5年近く延々と上昇を続けてきており、そのセンチメントががらりと変わって長期的なドル安の時代が到来する可能性が高まりつつあります。

FRBがこれだけ緩和措置を名目にしてドルを市場に刷りまくって放出してきたわけですから、ドル安が示現するのはごく当たり前の状況で、むしろここまでドル高が維持できたことのほうが奇跡的といえます。

バイデン政権の誕生でここからさらに大きな政府が現実のものになり、莫大な予算が国債発行をよりどころにして実施されることになれば、当然ドル安でその負担を減らしてくことを考えるのはほぼ間違いなさそうで、よほどのインフレが到来しない限り長期的にドル安が続くことを視野に入れた取引をしていくことが求められそうな状況がやってきています。

年末まではレパトリなど季節性の高い取引き需要も出てきますのでドルが一時的に値を戻すこともありそうで、その後またドル安がはっきりとしたトレンドとなって現れるかどうかに注目していきたいところです。