3月に新型コロナが世界的に感染拡大し、欧米でも大流行したことがきっかけとなって相場は大暴落を喫することとなり、その後FRBが無制限緩和を打ち出し、かなりの米国の世帯に給付金が支給されたことをきっかけにして余剰資金が株式市場に大量に流入することとなり、パンデミックは拡大しても株価は実態経済とは全く関係なく上昇してしまい、なんと史上最高値をつける展開が続きました。

今年も押し詰まっていますが大きく下落する傾向はみられておらず、果たしてこのコロナバブルともいうべき相場がいつまで継続するのかが投資家にとっての大きな問題になりはじめています。

FRBが金融緩和を続けるかぎりバブルは終わらないという見方

米国では民主党バイデン政権がいよいよ発足ということになり、イエレン前FRB議長が財務長官に就任することから、パウエル現FRB議長とのタッグで当面金融緩和措置は続き、それが継続する限りは株式相場が崩れることはないというのが大方の市場の見方になりつつあります。

もちろん欧州市場ではECBがFRBと同様に債券買い入れの政策を打ち出していますから、金融緩和は並行して大きく広がりをみせており、世界的にみれば依然想像を上回る緩和状態が維持されていることになります。

Data ZeroHedge

モルガンスタンレーが先ごろ発表したレポートによりますと、この先2022年までは世界の中央銀行は延々と資産買い入れの拡大を継続することが予想されており、その額は実にGDPの29%に相当するとみられています。

株式市場は世界的に猛烈な買いの動きとなっており、先進国のみならず新興国でも株価のインデックスは高値をつけはじめており、このままの状態が続けば確かに来春はさらに相場が上昇していそうな雰囲気が漂い始めています。

今年はIPO市場も活況を呈することとなり、すでに200社を超えるIPOが米株市場で示現しています。

直近ではドアダッシュ(DASH)やエアビーアンドビー(ABNB)、シースリーエイアイ(AI)など話題のIPOも含め13社が新たな上場を果たすこととなり、活況感はまった崩れていません。

転換を示唆する発言も出始めている

新債券の帝王ジェフリーガンドラックは、先週ツイッターで金融市場のトレンドの多くが静かに逆回転をしはじめており、今後数週間でそれに向き合うことになるだろうとかなり辛辣な警告を発しています。

特に気になるのは一般の個人投資家が雪崩を打つように市場に参入していることで、バブル相場の末期は必ず個人投資家が市場を席捲し、この上ない楽観相場が展開したあとにいきなりその相場が崩れだすという忌まわしい記憶がよみがえります。

今年は世界的にネット証券が活況を呈し、新型コロナの影響を受けた巣籠状態の中で多くの個人投資家が株や為替の市場に参入し、プロの投資家をしのぐほどのマジョリティを形成したことも大きな特徴となっています。

相場の暴落を知らないミレニアル世代は特に現状の株式市場に積極的で、まるでFXのスキャルピングのように米株が下がれば買い、上がればすかさずリカクするというきわめて特殊な売買を行っており、さすがのプロのクォンツもかつてなかったようなこのボラティリティの高まりの中でうまく利益を出せないという厳しいい状況に追い込まれているようです。

バブルの末期はもっとも相場が走りやすいですから、個人投資家のほうがプロよりもはるかに稼ぐ時間帯に入りつつあるとも言えるわけで、こうした恐れを知らない向きは相場の下落局面で押し目と勘違いして買い向かい、大きな損失を食らってそれまでの利益をほとんど掃き出しながら市場を去るというのがお決まりのパターンになっています。

ここからすぐにこうした相場の下落局面が到来するのかどうかはまだ全く分かりませんが、市場参加者全員が楽観的な気分になったときが最も危ないのもまた事実であり、そうした危機的な状況が近づきつつあることを指摘する専門家が多くなっているのは非常に気になるところです。

慌てて相場から退場する必要はありませんが、年末のリバランスを含めてそろそろ逆回転が始まる可能性についても意識しておく必要がありそうな時間帯に突入しています。