米株市場が突然ヘッジファンドの売りと個人投資家が大挙して買い上げる株式の急騰劇を受けて非常に揺れ動く状況に陥っています。

ファンドと個人投資家の叩き合いが始まった米株相場~どう見ても常軌を逸しはじめた市場
PhotoMICHAEL M. SANTIAGO/GETTY https://www.newsweek.com/wall-street-bets-reddit-gamestop-stock-market-boom-1564931

ことは米国のビデオゲーム販売のゲームストップ株を個人投資家が、ロビンフッドなどの手数料無料株式売買アプリを通じて大挙して買い向かったことに始まります。

昨年末まで20ドルにも満たなかったゲームストップの株価が27日から突然急騰し、株価は瞬間的に465ドル超にまで跳ねあがり、尋常ではなく売り向かっていたヘッジファンド勢は須らく踏み上げを裏って大損失を喫することとなりました。

年初来の上昇は1700%超ですからビットコイン並の異常事態であり、ヘッジファンドであるメルビンキャピタルを含む空売りを行なっていた機関投資家の多くは買戻しを迫られることとなり、このショートスクイーズこそが相場を暴騰させる大きな原因になってしまったというわけです。

そもそもこのゲームストップなる会社は米国のゲームソフト販売大手で、その業績不振は顕著でありおよそ株が暴騰するような銘柄ではない状況で、急騰の背景にSNSでの個人投資家の情報のやり取りが色濃く関係していることが判ってきています。

ファンドと個人投資家の叩き合いが始まった米株相場~どう見ても常軌を逸しはじめた市場
Data Tradingview

チャートを見れば一目瞭然の異常事態ですが、この上昇を受けてロビンフッドなどが取引きを制限したことから、その直後に45%も相場は下落、再開後にまた大きく上昇というかなり洗い値動きを継続中です。

投資オンライン掲示板レディットが煽動する一部株価つり上げ

ファンドと個人投資家の叩き合いが始まった米株相場~どう見ても常軌を逸しはじめた市場
問題となったレディットの画面

今回のGME株の暴騰に大きく影響を与えたとされているのが、アメリカで人気の投稿サイト・レディット(Reddit)の株取引コミュニティであるWallStreetBetsの存在で、このコミュニティのWSBと呼ばれるサブチャンネルが引き金になっていることが判っています。

Player896というハンドルネームのユーザーが昨年9月に機関投資家を破産させる方法、ゲームストップ編というタイトルの記事を投稿しています。

その後、このコミュニティがウォール街の連中を打ち負かす絶好のチャンスとばかりに大量の買いを入れて、大口のヘッジファンド勢が買戻しを余儀なくされるいわゆるショートスクイーズを引き起こしたことから、今回のような業績とはなんら関係ない暴騰相場が示現することとなったわけです。

SNSのサイトには様々な株の情報が出回ることはすでに多くの投資家に確認されていますが、今回のように特定銘柄で売り圧力をかけてくるファンドや機関投資家勢を打ち負かすような煽動が行われたのは事実上はじめてのケースであり、このコミュニティにおいて中央銀行が長年価格操作を行ってきている銀を狙い撃ちにして相場を持ち上げるべきであるといった煽動がおこなわれはじめており注目を集めています。

コルージョン・煽動と呼ばれるこうした同一行動は、米国の法律上も明確な違反行為となることから、恐らく米国の金融当局によって煽動を行ったSNSには一定の規制がかかるものと思われます。

それにしても株式市場が企業業績などを一切無視してまるでオンラインゲームのように機能する様になってしまったのは驚くべき状況で、これまでには見ることの出来なかったネット主導のバブル相場の様相を呈してきているところが非常に危惧される状況です。

ただ、このような事態に陥ると個人投資家の売買制限さえが行われ、ヘッジファンドには規制がかからなかったことを猛烈な不公平であるといった指摘も現れ始めており、相場の先行きはかなり不透明な状況です。

踏みあげられたファンドは優良株売却を余儀なくされる状況に

29日午前までに2020年第4四半期決算を発表したS&P500採用企業184社のうち、利益がアナリスト予想を上回った企業の割合は87.2%と業績は間違いなく改善しているにも関わらず、29日のNY市場は株価だけが一方的に関係なく下げるという特殊事態に陥って3指数ともに下落、とくにNYダウは602ドルの下落と大きく値を下げる動きを継続中です。

これまで上げ過ぎた相場の調整局面と言ってしまえばそれまでですが、2月相場は意外な材料から低迷を継続しそうで、FRBがとにかく緩和措置を続けているかぎり新型コロナの感染が広がろうが関係なく、相場は上昇するといった楽観的視点は相当注意しなくてはならない所に差し掛かっているようです。