バイデン政権が誕生することになってから、中国共産党はあまり大きなメッセージを国際社会に出して来なかったことから、この先対米関係についてもどのような姿勢を打ち出してくるのかが非常に注目され、直近の中国はかなり強くしかも過激なメッセージを口にする様になってきています。
1月28日の記者会見の席上中国国防省の呉謙報道官が「台湾独立を目指す勢力に本気で告げる。火遊びをする者はやけどを負う。台湾独立は戦争を意味する」と明確に発言し、台湾を巡ってこれまでトランプ政権時代ではありえなかったような過激なもの言いを始めていることが非常に注目されることとなっています。
トランプが大統領から引きずりおろされたのは、中国がこの4年間入念に仕掛けた準備の賜物であるといった陰謀論は米国内では相当浸透しているようで、クリントン時代から民主党政権は中国共産党の資金援助を受けて政権を成立させているといった話はもはや多くの人々が認識する厳然たる事実で、バイデン政権が中国とどのように向き合っていくのか、対峙は回避して弱腰の態度を鮮明にするのかどうかが非常に注目される状況です。
民主党政権はクリントン以降中国に厳しく当たれない
オバマ政権は当初は高邁な思想のもとにスタートしたはずだったわけですが、気がつけば既存の軍産複合体にすっかり取り込まれることとなり、中国との関係もかなりズブズブで厳しく対応することができないままに8年の政権を終えています。
バイデン政権は完全にオバマの焼き直しへと戻ろうとしていることは明らかで、オバマ政権時代にしきりに中国との関係を築き口利きビジネスに専念したのがバイデンの息子のハンターバイデンですから、この政権がトランプ政権と同じようなテンションで中国と向き合っていけるのかどうかはかなり大きな疑問になりつつあります。
もちろん民主党内にはかなり厳しい左派勢力も存在していますので、すべてがバイデンの一存で動いていくとは思えませんが、それにしても米中関係がここからどうなるのか、とくに台湾に対して中国が厳しい姿勢を露わにしてきた場合にバイデンがどういう姿勢を見せるのかは、世界的な関心を集める事態になりつつあるといえます。
CO2削減交渉での米国の出方が一つの注目点
バイデン政権ではバイデンと大の仲良しとされるジョンケリーが大統領特使として気候変動問題を担当しています。
トランプ政権の最後の最後でポンペイオ前国務長官が、中国政府による新疆ウイグル自治区でウイグル族ら少数民族に対して、強制的な収容を大規模に行っている事態は明らかにジェノサイト・民族などの集団に破壊する意図を持って危害を加える行為であると認定してその職を終えています。
バイデンはこれをさらにひっくり返して敢えて無視することで、中国とのCO2削減の取引きをケリーにされるのではないかといった憶測も広がっており、本当のところバイデンの対中政策がどのような形になるのかを金融市場でも多くの参加者が気にしはじめている状況です。
オーストラリア、カナダ、英国、インド、ドイツなどは、南シナ海における中国の動きを相当警戒しており、ややもすれば軍事的な同盟を強固にすることでそれを阻止する動きにでかねないところにありますが、肝心かなめの米国が中国に対してどのように対応するか次第では南シナ海、台湾に対する中国の動きも大きく変化することが予想されるだけに目が離せない状況が続きそうです。
為替に関して言えば米中対立とともにアジア圏での地政学リスクという問題も顕在化してきますから、相場が動く大きな要素になりかねず、引き続き事態を粒さに見守ることが重要になりそうです。