週末ビットコインはとうとう対円で600万円を瞬間的に超えるほどの上昇を見せましたが、週明けのNY市場では一気に値を下げる展開となってきており、状況はかなり流動的です。

イーロンマスクがツイッターで推奨発言したことから、急激に再上昇をはじめた感のあるビットコインですが、なぜここまで上昇することになったのでしょうか。

一か月前とそんなに価値が大きく上がったとは思えないにもかかわらず、その価格はうなぎ登りになってきているところが気になるところです。

大幅な下落は一旦は止まっていますが、ここから相場がどうなるのかは全く分からないのが正直なところで、ビットコインの下落とともにテスラ株も大きく下落し始めているところが非常に気になる状況です。

Data Tradingview

企業がインフレヘッジで大量購入したのが上昇のはずみ

ブルームバーグの報道によれば、ビットコイン急上昇の理由は幾つかあるものの、最も際立っているのはインフレヘッジとして企業のバランスシートをビットコインに移行するというやり方をマイクロストラテジーが始め、テスラがそれに追随する形で世に広めたことが大きな上昇を作り上げたとしています。

つまり大企業が一定のヘッジとして、大量の資金をビットコインに流入させたことが相場を予想以上に持ち上げる結果となっているのは間違いないようです。

実際テスラは1500億円のビットコインの購入ですでに1000億近い利益を上げており、売却したのか含み益なのかははっきりしませんが、本業の自動車製造販売による利益をはるかにしのぐ金額を短期間に稼いでしまったようです。

一転高すぎると言い出したイーロンマスク

これまでビットコインだドージコインだとツイッター上で言いたい放題の発言を繰り返してきたイーロンマスクですが、ここへきてビットコインは流石に価格が高すぎといったようなけん制発言をしはじめており、周辺からも煽るようなことを言わないように制止され始めたのかもしれない状況となってきています。

また、自分は投資家ではなく技術者であるのでテスラのビットコイン購入に主体的にかかわっているわけではないといった発言も繰り出し始めており、ここへきてそのセンチメントは急激に変化していることもうかがえます。

それにしても市場でかなり大きな影響力をもつことを自他ともに認めるイーロンマスクが、こうした軽率な発言をした挙句に相場の上昇を沈静化させるような発言をするのはどう見てもよろしくないものがあり、米国の金融当局が相当気にしていることも窺われる次第です。

下落が進めば個人投資家が逃げ出して暴落に

このビットコインバブルは買うから価格が上昇し、上昇するからまた買う人がでてくるという悪循環の継続にすぎず、そもそもフェアバリューもマイニングコストぐらいしか基準になるものはありませんから、需給べースだけから言えば1BTC1000万を超えるのもそう不思議なものではありません。

しかし、逆に売りがかさめば盲目的に市場にレバレッジをかけて参入してきた個人投資家などが、今度は一転して大挙し売りの出口に殺到することになるのは必然で、下げ始めた価格はどこまでも下落を加速しかねないという相当きわどい状況を示現しかねないリスクを背負っているようです。

相場ではビットコインへの資金投入がほかの市場の流動性を下げる状況となっているようで、逆に相場が大幅に下落しはじめると手持ちのほかの資産をとにかく売却して追証に充てるといったいわゆるミンスキーモーメントを引き起こす危険性もあり、こうした感覚的なブームの異常進行は金融市場全体にかなり大きな影響を及ぼす危険性が日増しに高まりつつあります。

1987年のブラックマンデーの場合、ジョージソロスが株を売っているらしいという噂がウォール街に広がったことでフラッシュクラッシュの先駆けのような暴落が起きているわけですから、ビットコインバブルの崩壊も同様の事態を引き起こす危険性は高くなりそうです。