米国10年債金利が思わぬ形で上昇を継続中です。
2月26日には一瞬ザラ場で1.61%を着ける場面もありましたが、1.5%を超えたところで一斉にテクニカル的な持ち高調整がでたことが1.61%まで金利を跳ね上げたという見方も広がっており、ここからの上昇が継続的に続くのかどうかには懐疑的な予想もではじめています。
実際市場では、25日のNYタイムに500億ドルの米債先物がリバランスで持ち高解消されたことが金利上昇に繋がっているということで、ファンダメンタルズよりもテクニカル的に債券が売られていると推測をはじめています。
リスクパリティ戦略をとるファンドなどは機械的に売っている可能性もありますから、ここからさらに金利が上昇すればまた機械的な売りが出るという悪循環も考えられ、今後の金利の推移からは目が離せなくなってきているのが現実です。
テーパーなきタントラム到来という予測も登場
米国10年債に関しては年末までに2%を超えるという見方と、4月までには到達してしまうという悲観論が交錯しあっていますが、仮に4月までに上昇が示現した場合には2013年5月22日のバーナンキショックと同じように相場が癇癪を起こすリスクを指摘する声も高まりを見せ始めています。
バーナンキショックといえば既に8年近く前の話になりますが、アベノミクスの初年度であった2013年5月22日、当時のFRB議長であったバーナンキが債券の購入ペースを徐々に減速することで量的緩和を縮小する可能性を示唆し、さらに2013年6月19日にFRBが今年中に債券の購入金額を減額し、2014年半ばに完全に終了する可能性があるという期日指定の踏み込んだ発言をしたことで相場は癇癪を起こしました。
株価は大幅に下落、ドルは売れることとなりなんとこの年の5月22日の東京タイム103円台後半をつけていたドル円はこの発言からすぐに100円台に下落、その後6月のFOMC前直前に93円台後半まで実に6円も円高が進行することとなりました。
米債金利の上昇に合わせてドル円も上昇し106円台が定着しはじめていますが、FRBがたとえテーパリングを実施しなくても債券金利だけが上昇することになれば、この先2013年と同じような市場の癇癪・タントラムが起きた場合には激しくドル円も売られる可能性があることは意識しておく必要が出てきているようです。
こうなるとドル円は上を追う可能性もあれば反転して一気に下落するリスクも抱えることになり、非常に予測が難しくなる時間帯を迎えそうです。
ドルの動きはプロでも予測不能な状態に
すでに3月相場入りとなるわけで、ドルに関してはここから上昇するのか、はたまた下落するのかを予測するのが非常に難しくなりつつあります。
米株市場は債券金利上昇を嫌気して売られるという経済の教科書通りの動きをしていますが、3月にはバイデン政権の追加経済対策でまた個人の世帯のほぼ半分近くに1400ドルが支給されることから、株式投資の原資として利用される可能性を予測する向きも多く、まだ米株は上昇する余地を残しているといえます。
ただ、機関投資家やファンド勢が一斉に株を売り始めれば状況が大きく変わり、ドル円などもその影響をまともに食らうリスクは相当高まることが予想されますので、果たして相場がどのように動くのかを粒さにチェックして動いた方向についていくしか利益を獲得する方法が無くなりつつあります。
当たり前といえば当たり前ですが、その位柔軟性をもって相場に臨むことが必要になってきていることは常に意識しておくことが肝要です。