FOMCの政策決定以降、米国の金融市場は株も債券も為替も荒れ狂った相場状況が継続しています。

18日のNY市場ではブラード・セントルイス連銀総裁がインタビューで、米連邦準備制度理事会のパウエル議長が今週正式に緩和縮小協議を開始したことを明らかにしたことから米債の長期金利が一時的に加速しドル買いが一気に進むこととなりました。

その一方で米株が3指数ともに軒並み大幅下落となったことからドル円などはその動きに連動する形で110.030円レベルまで突然下落するといった動きを見せ、激しい展開となりました。

ユーロ・ドルは1.1910ドルから1.1848ドルまでドル高方向に下落、ユーロ・円はリスク回避の円買いで131円20銭から130円61銭まで下落するという週末には珍しい荒れた相場となっています。

コモディティの領域は景気回復感から様々な商品が上昇していましたが多くの投機筋が一転見切り売りに転じたこともあって相場は突然ガタガタの状態に陥っています。

この動きに影響を受けている市場参加者はかなり多いようで、ここからさらにコモディティが売込まれてしまうのかにも注目が集ります。

FOMCでの利上げ見込みは2023年末までに2回ということはすでにこのコラムでもご紹介していますが正直なところ相当先の話であり、本当に2回利上げになるかどうかはまったく不透明な状況ですからこれだけをもってして今からドル買いのポジションメイクをするというのは違和感のある話で、誰がこうした相場を仕掛けているのかが非常に気になるところでもあります。

18日はトリプルウィッチングの影響が出た可能性も

18日は株価指数の先物とオプション、個別株のオプションの取引期限が重なる「トリプルウィッチング」の日に当たることから数兆ドル規模のオプション取引で、その満期が波乱の扉を開いた可能性も指摘されています。

個人投資家にとっては理解しがたいものですが、四半期ごとに訪れるこのイベントのおかげで相場には大きなボラティリティが発生しているとの見方も強まっています。

この種のオプションによるテクニカル的な取引きの増大は想定していない状況下で発生することから市場に参加していてもどうしてこうした動きがでるのかは理解できないまま相場が進むことになりますので誤った判断をするきっかけにもなりかねず、注意が必要となります。

ここからの相場は慌しい動きを示現する時間帯になるか

6月のFOMCで想定外にタカ派的な見通しがでたことで株式市場などは落ち着いた動きになるのではないかといった予測もでていますが、実際にはよくわからない動きが示現する可能性も高まりつつあるようで夏に向けての相場は引き続きかなり注意深い取引きが求められることになりそうです。

為替の世界に関して言えばドル買いがほぼどのドルストレートの通貨ペアでも強まっていますが、一方で米10年債の金利は明らかに下落しはじめており、相場の整合性が一体どうなるのかについても注目が集まる状況です。

株価のほうは日米ともに調整から下落局面に向かっていますので今年も比較的シーズナルサイクル通りの動きとなっていますが、為替は6月想定外にドル高が続いておりこれは例年とは異なるものであることからこの動きがさらに続くのかどこかで補正されるのかが非常に気になるところです。

シーズナルサイクルはそれなりにズレを生じることが往々にしてあるものですが、7月、8月に向けては必ずしもドル高にはならないのが例年の動きであるだけに今年は完全に異なるものになるのか元に戻る動きとなるのかに注目が集ります。

6月はかなり静かな相場が続きましたがこれが継続しないことも考えられるだけにここからの値動きには神経を張り巡らすことが求められることになりそうです。