17日の早朝に発表されたFOMCの政策内容はほぼ予想通り現状維持となりましたが、委員が予想する利上げ時期のドットプロットが前回よりもはるかに前倒しでの利上げを示唆していたことから市場はFRBが異常にタカ派的に動こうとしていると読みこむこととなり、ドルは多通貨に対して急激に上昇することとなりました。

ドル円で言いますと2023年末までに2回の利上げの可能性ということだけで110.824円まで吹き上げるのは流石にやりすぎで、18日には既に110円割れを何度か試す動きもでたことから週明けはどこまでこの高値を継続していけるのか、あるいはさらに上値を追うことができうるのかに市場の注目が集まることになりそうです。

ドル円は米株の動きにも注意

ドル円はFOMC後の東京タイムで久々に111円に迫る高値を記録し仲値以降もなかなか110.600円を下回らない底堅い動きを継続することとなりました。

ただ同日のロンドンタイム以降は下落をはじめ逆に110.400円に戻ることもできなくなり、18日には110円を割る場面も見られることとなりました。

しかし110円割れでは買い向かう向きも相当多く、一気に下落するとも思えない展開となって週末は110円台に戻して引けています。

テクニカル的には再度111円台を試しに行きそうにも見えますが、足もとの材料だけで7月の比較的ドルが低迷する相場の時間帯にさらに上値を追うことができるのかどうかは実際の相場を見て見極める必要がありそうです。

ただ下値も相当堅そうにはなってきており、下落してもせいぜい109円程度になる可能性は高そうです。

今回のFOMCの結果を受けたドル円の動きはこれまで大きく積みあがり過ぎたドルショートの巻き戻しが一変に出ただけという冷めた見方もあり、週明けの相場でそれを確かめることが重要になってきていることを感じさせられます。

また18日のNYタイムの相場でも見られたとおりFRBの要人がテーパリングなどについて積極的な発言をすれば短期的に相場は上昇するものの、米株が大きく下落しはじめると逆にドル円はそれにつられて下落するという動きも顕在化していますからチャート形状だけで上方向に動くと断定するのはいささか危険な状況です。

あくまでも上下双方向に動くことに対応できるようにしておきたいところです。

ドル円1時間足

ユーロドルは引き続き下方向に注意

Photo Reuters. http://a.msn.com/01/ja-jp/AAL8lO2?ocid=st

FOMCでドル円とともに下落に転じたユーロドルはFOMCの政策発表直後からドル円同様、ドル高にシフトしました。

ただユーロはその後、全く戻りが鈍い状況でドル円とは明らかに異なる動きを示現していることがわかります。

実は17日実質的にECBを動かしている戦略決定の中枢とされるレーン理事が9月9日のECB理事会までにパンデミック緊急購入プログラム・通称PEPPを簡単に終わらせるのは時期尚早という見方を示しています。

場合によってはECBのほうがFRBよりもテーパリングの開始が後になるのではないかといった見方が市場に広がりつつあることが対ドルでユーロの戻りを鈍くさせている可能性があるようです。

ユーロドル4時間足

市場は相当先の話であっても中央銀行が金融緩和を終了させようとする内容を示唆したたびに過剰に反応するようになっており、その中央銀行間のコントラストが通貨ペアの動きとして色濃く示現するようになってきています。

そういう意味ではユーロドルはドルのほうがはるかに早く緩和を終了する可能性を市場が強く感じていることが足もとの動きを示現する強力なドライバーとなっているのは間違いなさそうで、市場に新たなドライバーが出現するまではこうした状況が続く可能性を考えておく必要がありそうです。

さらに英国では完全に新型コロナ感染が終焉を迎えたように見えたものの、直近では変異株の感染が再拡大しつつあり、これも対ドルでの上昇を抑止する材料につながっていることからドルは対主要通貨で強含む展開が続きそうな気配となっているようです。

シーズナルサイクルとの乖離具合のチェックも忘れずに

ドルインデックスのシーズナルサイクルとしては7月、8月は下落傾向になることが示されていますので、今年もここからこうした動きに回帰していくのか全く新たな動きを示現していくことになるのかについても注目が集まるところです。

Data EquityClock.com

さすがにFXはシーズナルサイクルだけ信用して売買するわけには行きませんが、季節的な実需の変動要因など我々が気が付かない材料が格納されていることは十分にありますので常にその差分がでるのかどうかはチェックしておくことが肝要になります。

昨年のように新型コロナ発生後にも関わらず株価が暴騰したような相場状況であってもドルインデックスは夏場にしっかり下落していたのが現実で、決して無視できない材料であるともいるのです。