11月第二週の為替相場はFOMC以降急に下落を始めたドル円の動きが非常に象徴的なものとなりましたが、10日に発表された米国CPIの数字が年率で6.2%という31年ぶりの高水準になったことからインフレ必至となり、米債金利も大きく上昇したことでドル円は行って来いの上昇で114円台回復、またユーロドルは驚くほど反転下落し、クロス円も全般的に下落という動きになりました。

今月は25日が米国の感謝祭で翌日のブラックマンデーもほぼお休みということで、儲かっているファンドのマネージャーは20日から休暇をとるといった、本邦でいえば5月のゴールデンウイークにあたるような時期にさしかかることもあって月内でも唯一の利益を出すチャンスの週となります。

それだけにさらに高値を狙うことができる相場なのか手仕舞い売りになるのかを見極めることが非常に重要な一週間となりそうです。

ドル円は再度115円方向を試すことになるかどうかに注目

先週高値から112.700円レベルまで債券金利にリンクして下落したドル円でしたが、実はFOMCでのテーパリング実施に連動しFRBがその直後の債券発行額を勝手に減らしたことに起因して債券金利が下げたことも判明しており、こうした小細工がない限り米債金利は上昇するリスクのほうが断然高くなりそうな状況になってきています。

また国内の実需の需給から見るとこの秋は本邦輸出勢の製品輸出額が自動車の半導体不足の影響などで大きくダウンしている一方、原油をはじめとするエネルギー価格の高騰、海外からの部品輸入コストの上昇などで一説によれば年末までに軽く10兆円分のドル不測が懸念されているということで、実需ベースでドル買いが出やすい状況が続くこともほぼ間違いありません。

ただこれだけの材料があっても115円をすんなり超えて120円に近づくまで上伸するかどうかまだ誰にもわかりませんが、かなりの仕組債やオプションが設定されているとされる115円を突破することができればさらに上を目指すことも可能となるため、このあたりまでの動きがいつどのタイミングで出るのかが非常に重要になりそうです。

12月も実質稼働するのは最初の3週間程度なので11月中に115円を試す動きにならないと結果的に年内に大きく上昇できる可能性はありません。

週明けの相場はまずこのあたりの動きが果たしてどうなるのかに注目が集まります。

ドル円直筋の4時間足推移

ユーロドルは想像以上に下落が進んだ状態

先週一週間ドル円と全く逆の動きになったのがユーロドルでした。

FOMC以降弱含み米債金利が下落したことを受けてユーロドルは大きく買戻しの動きとなりましたが、10日の米国CPIの結果を受けて反転売り浴びせとなり、その後は週末にかけて下落継続中の動きとなりました。

こちらも果たしてどこまで下落が継続するか、ドル高が進むかが大きな注目ポイントとなりそうです。

ECBは依然として緩和継続を掲げており、テーパリングの実施を開始したFRBとは政策のコントラストはかなり鮮明な違いを見せています。

したがって迂闊な買い向かいは禁物ですが、例年12月は実需の動きをともなってユーロは大きく上昇する確率が非常に高いことも忘れてはならず、相当な底値をつけたところでは年末に向けての買い場としてワークする可能性も視野に入れておきたいところです。

ユーロドル直近の4時間足推移

以前は感謝祭となると株も為替も手仕舞い売りが増えて相場は一定の下落となることが多かったのですが、最近の米株相場は感謝祭前に高値をつけて上昇することが多く必ずしも手仕舞い売りにはなりません。

ただし為替は株と同じような動きになるとは限らないのもまた事実であり、ポジションが傾き過ぎている場合にはやはり一定の調整がでることにも注意が必要となります。

もう年末までは稼働日が実質30日を切り始めており、儲けることも重要ですが迂闊な損を食らわない手堅いトレードを目指すことも重要になりそうです。