6月に入ってからというもの、株式市場も債券市場も5月とは異なる動きを示現しはじめており、為替もそれを受けて円安が進むというリスクオフ的な動きが強まっています。
今月からはFRBの資産縮小も始まり、利上げも簡単には終わりを迎えない状況が見え始めているので、たしかに相場の雰囲気は悪化しつつあります。
そんな中で米国の大手金融機関JPモルガンチェースのCEOや、ゴールドマングループの社長がここからの相場の異変に注意喚起する発言を相次いで出していることから、市場の関心が高まりつつあります。

ハリケーンの襲来に注意と言い出したジェイミー・ダイモンCEO

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JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは6月1日、アライアンス・バーンスタイン・ホールディングスがスポンサーとして開催された会合において、金融政策引き締めやロシアのウクライナ侵攻といった前例のない材料に直面して経済のハリケーンが到来することに身構えるべきであると発言して注目を集めました。

今はそこそこ日当たりが良く順調で、米金融当局はうまく対処できると誰もが考えているがハリケーンはすぐそこまで来ていると警鐘を鳴らしています。
どれだけのハリケーンになるのかについては言及を避けていますが、金融市場の現場のアナリストの超楽観的な見通しを覆すものであり、金融機関の経営層はかなり相場の先行きに異なる見通しを持っている事が明らかになっています。

ダイモン氏は業界の中でもかなり高い見識をもつ要人として認識されており、今回のようなハリケーン襲来予測を口にするというのはよほどのことが起きる可能性を示唆するものとして、市場の警戒は高まりつつあります。

ゴールドマンサックスグループの社長も同種の発言を展開

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一方、ゴールドマン・サックス・グループのジョン・ウォルドロン社長も、世界経済を揺るがすショックが相次ぐ中、この先はさらに厳しい経済状況が続くと警鐘を鳴らす発言をして、ダイモンCEOに続いて相場の先行きに大きな危機感を持っていることを示唆しています。

ウォルドロン氏は投資家会議において、これは私がこれまでのキャリアで見てきた中で、最もとは言わないが、かなり複雑かつダイナミックな環境の1つだと発言、さらに経済システムにこれほどの数の衝撃が同時発生するのは前代未聞だとも述べており、資本市場の環境が厳しくなることは間違いないと断言しています。

ハリケーン襲来とは相場のさらなる大暴落を示唆しているのか

足もとの市場は個人投資家が見ていてもなにか様子のおかしなものを感じさせられるようになっていますが、米国を代表する金融機関のトップ2名が相次いで市場に注意喚起を送るということは、相当な相場の暴落等が発生する可能性があり、それがいつどのレベルで起きるのかが非常に注目されるところとなりつつあります。
最近の相場の大幅下落状況では全金融資本市場が全部売り状態となることから、リスク分散が全くワークしないという特別な事態に陥ることもあり、一度相場が下落しはじめると逃げ場のない状態となることがかなり懸念されます。

各金融機関の現場のアナリストはこうしたトップの発言をよそに相当楽観的な見通しを繰り出していますが、同じ企業でどうしてここまで見立てが違うのかについても疑問が生まれる時間帯となっています。

今月は17日の午前3時に6月のFOMCの結果発表が行われますが、異変がでるとすればいよいよこの直後になることも危惧されます。
いずれにしても相場のいきなりの下落が起きるリスクについては常に意識し、とくにロングのポジションを盛った場合にはしっかりストップロスを入れて対処するといった努力が必要になるでしょう。