いよいよ12月に入った相場は、年の瀬が押し迫るというにはまだ早い段階ではありますが、早くも感謝祭前に手仕舞いを行った海外勢の動きを追って、手仕舞い売りが加速するリスクが高まっています。

今年はFOMCの結果が発表されるまで、ある程度の市場参加者は残ると見られますが、すでに利上げ停止との見方が強まる中、留守番役は人からAI実装のアルゴリズムへと移り変わっていることが窺える状況です。

それに伴い予想外の動きも出やすくなるため、この時期のポジション保有には十分な注意が必要になります。

アルゴトレードが暗躍する相場が継続中

今年の相場では、すでに多くのファンドマネージャーが感謝祭前に手仕舞いを行い、今年の取引を終えていますが、ここからさらに参加者は減少し手仕舞い売りも増加していく見込みです。

ドル円も、感謝祭前に手仕舞いが一息ついたように見えますが、日本企業が海外資金を国内に回帰させる「レパトリエーション」もまだ続きそうなため、15日ごろまでは値を戻せば叩かれるという相場が続きそうな状況です。

またこの時期は、AIがマーケットの動向を判断して自動的に売買を行うアルゴトレードも目立つようになるため注意が必要です。

例えばこのところ、東京仲値時間はほぼ毎日のようにシンガポール系のファンドによる売り仕掛けが出ており、ロンドン市場の開場時間である日本時間の午後4時過ぎにも、同じような動きが鮮明になりつつあります。

 

先週はタカ派の代表格だったウォラーFRB理事が利下げを示唆する発言を行ったのをきっかけに、まだ市場に残っていた短期のヘッジファンドが、プットオプションで147円台のストップロスを突っかけに行き、値を下げに成功したのもほぼアルゴリズムの仕業と見られています。

翌日29日の東京タイムからは、薄商いに乗じてシンガポール勢が目いっぱい売り込みを開始し、146.7円レベルまで値を下げることになってしまったのも印象的です。

本来ならば、それほど大きな問題にはならないはずの材料でも、一気にドル円が売られる展開が繰り広げられている状況です。

 

11月末1週間のドル円の動き

 

一方で、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は30日に、現時点での利下げは考えていないとし、FRBが利上げを完了したかを考えるのは時期尚早との考えを示しています。

さらにニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も、景気抑制的な金融政策はかなりの間続くと想定すると述べ、インフレ圧力が続けば再び利上げの可能性もあるとの発言を行うと、ドル円はあっという間に148円台に逆戻りしたことから、アルゴリズムによる買戻しも激しいことが窺えます。

ファンダメンタルズは、本質的にここまで上下動するほどの変化はないはずであるため、市場参加者が少ない中でこうしたアルゴリズムの動きが鮮明になっていると思われます。

日本時間の1日から2日の早朝にかけても、パウエル議長による討論会や講演での発言が取り沙汰され、微妙な発言トーンの変化から利上げ終了と理解した市場参加者とアルゴリズムが、積極的な売りを仕掛けドル円は146円台で1週間の取引を終えています。

投げと踏みの応酬相場が続く現状では、限られた時間帯または指標発表時だけ狙うといった割り切ったトレードを行うことが必要です。

好調だったユーロドルの上昇も一段落

ここ1週間のユーロドルの動き

 

11月後半から大きく上昇し始めたユーロドルは、先週半ばに1.1000を超える上伸を見せました。

しかしその勢いは続かず、ドル買いが強まる時間帯ではほぼ押し返され、1.09を割れたところで週の取引きを終えています。

月初は相場が上下しやすく下押しすることはよくあるものですが、年末に向けて再上昇する可能性もあるためここからの動きには注意が必要です。

ユーロドルの場合は、ユーロ自体が強含んでいた訳ではなくあくまでもドル安に起因する上昇であるため、年末にかけてもドル次第の展開になることが予想されます。

前述のように、市場参加者は12月に入り日々減少しているため、すでに積極的に売買をする時間帯ではなくなっています。

そのためボラティリティがしっかり確保できるロンドンタイムや、指標発表を控えたニューヨークタイムなどを選び、限定的にトレードを行うなどの工夫が必要になりそうです。