日米通商交渉がいよいよスタートしています。茂木大臣の会見だけ見ていますと比較的うまくいっているように見えますが、長期にわたって貿易赤字を食らってきた米国が1日3時間かそこいらの集中会議ですべて打ち解けてWin-Winの関係などになるはずはなく、しかも80年代の自動車の輸出規制のケースをみてもわかる通り闇雲に台数規制だけしても結局何も食い止められなかったという答えはでているだけに話が為替の領域に及ぶことはほぼ間違いない状況にあるといえます。いまのところ米国側は安倍政権に配慮したのかそもそも交渉がTAGではないと名称から否定する口火の切りかたはしていませんが、包括的なFTAと為替の領域での具体的な条項の盛り込みを進めようとしていることは間違いなく、どこでこうした齟齬の部分が問題になるのかが注目されます。

ムニューシン財務長官が為替条項要求を明言

トランプ政権が目指すのはプラザ合意2.0の実現
https://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXMZO4372454014042019FF8001&dc=1&ng=DGXMZO43724560U9A410C1000000&z=20190414

ムニューシン米財務長官は日米の交渉の開始に先立って13日に為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになると明言しています。日本は為替条項の導入に反対しており、日米協議の大きな争点となるのはほぼ間違いなく、為替相場は凪の状態が続いていますが、いきなり円高に動きだす危険性がかなり高まりつつあります。

物価を加味したドル円の実質実効レートはすでに80年代中盤の1ドル200円から250円レベルだった時代と同じぐらいに円安が進んでいますので、このまま米国が見逃すはずはなく、どうあがいても結局協定の中に法的拘束力を伴うものとして盛り込まれることは間違いなさそうです。

トランプが目指しているのは第二のプラザ合意

トランプは政権発足当時の2017年から経済の専門家を集めてプラザ合意2.0、つまり新たな為替でも主要国間の合意を求められないかの検討に入っているといいます。もし2020年の大統領選挙でトランプ政権があと4年継続となればこれを実現するために奔走することは間違いなさそうで、その布石として主要国との協定に為替条項を盛り込もうとしているわけですから、どれだけ安倍~トランプのよかろうが日本だけ御目こぼしにある可能性は極めて低い状況にあります。米国は足元で日本円にして2400兆円という巨額の債務を抱えていることに非常に神経質になっており、トランプはとにかくFRBに金利を上げないようにプレッシャーをかけ続けている状況で、為替水準でこの債務を減らしていこうと画策するのほぼ間違いない状況です。

このように為替条項の導入は日米交渉でももはや必須のものであり、表面上は優しく見える交渉でも必ず締結を余儀なくされる必須事項とみるべきものといえるでしょう。

ドル円は円高必至の状況か

ここからいよいよゴールデンウィークが目前に近づきますが、米国の対応次第では本邦不在時期にいきなり円高に相場がシフトしはじめるリスクは依然としてかなり高そうで、フラッシュクラッシュのような状態が現れるかどうかは別としてもドル円についてはドル高支援になる材料はファンダメンタルズからみるとほとんどないことは意識しておく必要がありそうです。

過去40年あまりドル円の歴史は政治的な材料に翻弄されてきた歴史そのものであり、市場が相場の水準を形成できたことはほとんどなかったのが実情です。米国サイドが具体的にドル円の水準をどのレベルが望ましいと思っているかはまったくわかりませんが、すくなくとも現状の水準から10%ないし15%程度円高に動いたあたりが平均水準と想定している可能性は高く、100円かそれ以下が中心価格となることはあらかじめ想定しておく必要がありそうです。