15日からの1週間ドル円はとにかくほとんど動かない状況でいつ見ても112円台を挟んで30銭と動かない日が続くこととなりました。さすがにスキャルピングでもこれでは刈り取ることができないと眺める羽目になったわけですが、どうやら1985年のプラザ合意以降でもベスト5に入るほどのボラティリティのなさで結果週全体で48銭とほぼ21世紀に入ってから1~2位を争うほどの低ボラティリティ相場を示現することとなってしまいました。どうもこの相場にはそれなりの訳がありそうで、週明け、連休前の最後の相場も同様の動きが続きそうな状況です。

ドル円1時間足

ドルしか買うものがないFX市場

為替市場では相変わらずドル需要が旺盛で、とにかくリスクオンでもリスクオフでもドル買いが続いていることが動かない相場の根本になっているように思われます。足元では欧州圏経済が非常に危うくなってきていますから、実需以外ではユーロを積極的に買う理由もなく、また市場がリスクオフの展開になると結局ドルが買われるということでドル円も一旦上昇するとほとんど下げずに停滞する相場が続いていることがわかります。
ユーロドルはドル円よりはましな動きではありますが、こちらもトレンドがでているわけではなく、日ごろのユーロドルから考えれば小動きの領域に入っているといえます。

ユーロドル1時間足

この状況は週明けもさまり変わらなさそうで、まだ相場の膠着は続くことが予想されます。

国内のドル買い実需にも大きな変化

ドル円に関しては本邦市場における需給が少し前と大きく変わってきていることも気になるところです。
まず国内企業はかなり広範な業種で自らの力で事業を立ち上げたり新製品開発をするのではなく、M&Aによって有望な海外企業を獲得することでいわゆるインオーガニックグロースを目指す動きが非常に顕在化していることが窺えます。このため買い切り玉の実需としてのドル買い需要が非常に旺盛で本邦企業の対外投資、M&Aが引きも切らないことからドル円は全般的に買い支えられていることも相場を大きく変動させない要因となっているようです。

また長短金利差がまったくない状況から投資先に窮している邦銀勢や機関投資家が為替のヘッジをしないまま裸で外債投資に積極的に乗り出しているのもドル円を下下落させない大きな材料になっているようです。

こうした実需のドル買いは買い付け期限が決まっていることから、それまでは積極的には買いあがらないものの、期日が近くなれば無理にでも買いを進めてくることから、ドル円は一旦上昇するとほとんど押し目をつくらないというかなり特殊な状況になってきていることがわかります。

数か月後には大きな変動発生の可能性も

ただ、ブルームバーグの報道によりますと、過去25年の相場におけるドル円では3回ほど大きくボラティリティが減少する谷がありましたが3回とも米ドル指数は
その後の6カ月に10%以上変動する結果となっています。96年と2014年はドル円がその後上昇、2007年には10%を超える下落になっており、どちらに動くかはわからないもののボラティリティは突然爆発的に上昇するリスクがあることは意識しておく必要がありそうです。

ブルームバーグより

週明けのドル円相場も相変わらず大きな変動がない相場が続きそうで、とくに25日の朝6時にポジションを保有していれば11日分のスワップポイントを付与する国内店頭FX業者が多いことからこのタイミングにめがけてドル円のロングポジションを持つ向きも多そうですからやはり相場は大きく動かないことを想定しておいたほうがよさそうです。波乱があるとすればやはり10連休に入ってからになりそうな予感です。