週明けトランプツイートでアジアタイムに大きく崩れた株式相場の先物およびドルでしたがNYタイムは序盤こそ現物株も大きく下げたものの、米中の交渉継続と決着期待が色濃くのこり結局大きく買い戻されて週初の取引を終えました。
しかしUSTRライトハイザーの関税率引き上げ実施発言から10日の税率25%引き上げがようやく現実のものとなったようでNY市場の株価は7日再度大きな下げを記録して終わっています。どうも今年に入ってから市場に楽観論がはびこっており、何があってもあまりネガティブの反応することがなくなってしまったようにも思えますが、実はその巻き返しが一気にやってきそうでここからの相場は相当注意してかかることが必要になってきています。

再度飛び上がり始めたVIX

https://jp.tradingview.com/symbols/CBOE-VIX/

VIX指数が米中問題をきっかけにして再度飛び上がり始めています。2018年1月前年から延々と売りを続けてきたファンド勢はVIXの跳ね上がりで殆どの売り持ちを買い戻すもしくは投げざるを得なくなり、それに連動する形で株価が大きく下落したのは記憶に新しいところですが、性懲りもなくまた売り持ちをかなり積み上げているようで、これが前回同様一気に巻き戻される動きになると相場にはかなりのインパクトでることになりそうです。
CMEが発行しているCOTレポートの最新版を見ても投機筋が圧倒的にVIXに売りを入れている状況で、10日に本当に米国が関税率を25%に引き上げた場合には相場が下落に走る可能性がでてきています。

Data COT report

アルゴリズムとパッシブ運用が妙な楽観相場示現の現況か

ここのところの金融市場を粒さに見ていて感じるのは、相場がリスクをあまり事前段階から織り込まなくなっており、実際に事が起きてからはじめてそれに大きく反応することです。これはアルゴリズムが台頭しているせいかAI実装のコンピュータのせいなのかよくわかりませんが、どうも人が裁量取引で強く感じるリスク感というものをコンピュータ取引が感じていないことが大きな原因なのではないかとさえ思うようになっています。特に株式市場は指数だけで売買をするパッシブ運用が個別銘柄重視のアクティブ運用を完全に凌駕しており、しかもリスクパリティ戦略をとっているファンドが増えていることから指数の数字がよくなりトレンドがではじめればどんなに高値でも買いあがる動きをすることが妙に生ぬるい感じの相場状況をつくりだしている感が否めません。

その反面、数字が悪くなると容赦なく損切を始めることから下落局面で相場が一定のレベルを超えて下がり始めると一気に損切が加速して必要以上に上げたり下げたりしまうという状況を示現しやすくなっています。これが相場の上昇時には妙に楽観的な動きを増幅させているように見えて仕方ありません。しかしひとたび相場のセンチメントが変わると動きが一変することには相当注意が必要です。
リスクパリティの損切で下落が加速しはじめるととめどもない世界に陥る危険があるからです。今回のVIXの急上昇の過程でも2018年1月などと同じような動きが相場に現れないことを祈りたいところですが、同じ過ちは何度でも繰り返しそうで非常に危ない印象が強まっています。