日本が史上初の10連休の最終日となった6日の未明突然トランプ大統領が対中関税25%を実施する旨ツイートしてからというもの、この一週間金融市場のテーマは米中貿易問題一色となってしまいましたが、日本時間の10日午後1時1分予告通り関税率引き上げが実施され、中国も即座に報復措置を示唆しはじめています。こうなると週明けにどのような展開が待ち受けているのかが非常に気になる所ですが、10日のNYタイムにトランプ大統領から米中の協議継続の意向がツイートされたことから株もドル円も一旦は買い戻される動きとなって週の取引を終えています。
ただ、週末に米中の要人からなにか発言があればまた週明けギャップダウンやギャップアップする可能性は否定てきないところですし、特に中国の報復措置の中身が気になるところです。
ドル円は下値にそれなりの買いオーダーがある模様
ドル円については資本筋、つまりGPIFのことを指しているのでしょうが下値ではそれなりの買い意欲があり、このコラムでもすでにご紹介していますように本邦の機関投資家がさらにオープン外債購入のためにドル円が下がれば買い向かう状況となっていますので、一気には下がらない動きになっています。実際ドル円は6日の週も109.500円を大きく割り込むことはなく110円に近いところで週の取引を終えていますが、当然週足でみれば陰線引け週明けに109円を割り込めばかなり下押す可能性もあり、実需筋が下値を支えているから値ごろ感だけで下落相場に買い向かうのはかなり危なそうな状況になってきています。とくにリスク回避の円買いは本邦勢ではない別のところからいきなり出てくることが多いことから一気に下値を突破することも想定しておく必要がありそうで、13日週もやはり戻り売りから下値を模索し、利益が出ているポジションならトレーリングストップを設定してショートカバーがでても巻き込まれない準備をしておくことが重要になりそうです。実際一週間ですでに1.5円近く下押ししているわけですからそれなりのショートカバーも出やすく、じっくり待って再度戻り売りを仕掛ける姿勢が求められるところです。
結局のところ米株の進捗次第でドル円も下落か
週明けの相場は大きなイベントもなく、若干の経済指標の発表がある程度ですから、やはり米中の交渉の先行きが相場に大きな影響を及ぼしそうです。
S&Pについては3月から形成されていた鋭角の三角フラッグの部分を連休明けの相場で完全に下抜けてしまっていますのでテクニカル的には単なるレベル感で買えるような動きにはなっていないのが非常に大きな問題です。
また投機筋が保有するVIX先物の売りも4月末に18万枚に達しCFTCが発表した最新のレポートでは5月6日段階では若干減少はしていますが、このまま株式相場が下落すれば2018年月のVIX先物の価値が急減し90%以上の価格を失ったときも結局それが株式市場をさらに下押しすることとなり米株のみならず日経平均も1600円以上暴落していますから、ここからも相当注意が必要になってきていることは間違いありません。
株価が大きく下げた場合、まずはドル円はマザーマーケットである東京市場で、年初の105円割れのレベルを試しに行くことになるものと思われますし、それを下抜けた場合100円方向にさらに下落するリスクが高まります。4月末の日米首脳会談では日本政府はやたらと北朝鮮の話だけを大きく取り上げていますが、自動車輸出や為替条項については何かすでに決定的な要求を受けていることも十分に考えられるだけに注意が必要です。
相場は一定の戻りを試すとしてもテクニカル的には買いのタイミングではなく、個人投資家の安易なレベル感だけで相場に参入してもまた叩かれるリスクがあることはしっかり認識してトレードすべき時間帯です。