令和への元号の変更と史上初の大型連休実施にすっかりかき消されてしまいましたが、平成最後の金曜日となった4月26日経済産業省から発表された3月の鉱工業生産は前月比0.9%低下となり、これで1~3月の本邦の成長はゼロないしマイナスになった可能性が一段と高まった状況です。内閣府の発表では2012年からの景気拡大はいざなみ景気すらも超えたはずだったわけですが、どうも実態はそうでもなさそうではない数字が軒並み揃いはじめています。生産予測指数は4月が前月比2.7%上昇、5月が同3.6%の上昇となってはいますが、もっぱら中国を中心とした外需頼みの状況で、米中の貿易戦争が激化しているなかで中国が減速に転じれば国内景気は一段の下げを示現する可能性が高く、今後の経済動向が注視されるところです。

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また数字自体が嘘か本当か区別がつかなくなりつつある内閣府発表の1~3月のGDPも鉱工業生産が前期比2.6%減とかなり落ち込んだことからGDP自体もマイナス、ないしゼロ成長を予測する機関が増加中で、どうもGDPは見かけ以上に悪い状況へと進もうとしていることが窺われます。

実質賃金の低下も予想を超える下落域に

厚生労働省が連休明けの5月10日に発表した毎月勤労統計調査速報によりますと3月の実質賃金は2.5%のマイナスで2015年6月以来の低水準を示現することになってしまいました。これで前年同月を3か月連続で下回ることとなってしまったわけでこの春先に全力で改ざんにつとめてアベノミクスの成果をねつ造することに貢献しようとしたことがすっかりばれてしまった厚生労働省の成果もむなしく実質賃金は調査対象をいじって上昇させようとしてもどんどん低下傾向にあることが明らかになってしまいました。その一方で総務省がまとめた消費支出のほうは4か月連続で増加中で、実質賃金が毎月下がり続けている中で消費支出だけが増加するということが本当にあり得るのかどうかかなり首をかしげる結果となっています。
総務省では基調判断を持ち直しの動きがみられるとしていますが、個別の調査間の整合性のなさは極めて不可思議な状況で、前年比で増加に寄与したのは、交際費や諸雑費などのその他の消費支出、交通・通信、設備修繕・維持といった住居など
となっており、またしてもいじりやすい領域で手心を加えているのではないかいう疑念が頭をよぎります。

連休明けからの消費低迷が危惧される状況に

令和のスタートと怒涛の10連休ということで多くの世帯の財布の紐が一時的に緩んで4月末から5月頭の消費はそれなりに改善されたことが予想されますが、5月は食品関係が一斉に値上がりを始めており、この動きは6月以降も続く状況となっているところに加え、4月からの働き方改革の影響をもろにうけて多くのサラリーマン家計は残業分の減少がいきなり可処分所得の減少として響いてくる可能性が極めて高く、夏に向けて先取りして使ってしまった家計費がここから急激に財布の紐を固くする形でネガティブに示現するリスクも高まりそうで、国内消費は一段と厳しさを増しそうな状況です。
経済指標を先取りした動きを見せるのが株価ですから、足元で米中貿易紛争で大きく下落している日本株がここから反転上昇するのは相当至難の業である可能性が高そうで、為替もそれに連動した動きがでるリスクに相当注意が必要になってきているようです。

安倍政権はここ4年あまりのアベノミクスの成果が実は全く上がっていなかったことが問題にならないように夏の参議院選挙に日朝交渉をクローズアップすることを考えているようですし、なにより3度目の消費税増税延期を持ち出してそれを争点にしながら衆参同時選挙での勝利を考えているようですが、テクニカル的に選挙での勝利がもたらされても経済にはなんらプラスにならないかなり厳しい状況が現実に示現しつつある点には相当注意が必要で、このままですと日本が先進国中まっさきにリセッションに突入してしまいそうな嫌な材料が積みあがり始めています。