いよいよ8月相場の暴落がはじまっていますが、この相場1998年と非常によく似ているといった指摘が市場で多く聞かれるようになっています。
とくにS&P500のこれまでの動きはかなり今年の株式相場に酷似しているという指摘が多く、8月も同様の動きをするのであればかなりの大幅下落を示現してしまうのではないかといった心配の声が聞かれます。これはチャートの形状の相似形を見つけるアナログチャート分析と呼ばれるもので過去にはポールチューダージョーンズがこれを使ってブラックフライデーで大儲けをしたという逸話もあるわけですが、果たして足元の相場がこのまま1998年そっくりの動きをすると一体どうなるでしょうか。実際に8月に入ってから相場は大きく暴落しはじめています。これがこの先一体どうなるのかが非常に気になるところです。
上のチャートが1998年と2019年のS&P500 を重ね合わせたもので、完全にシンクロしているわけではありませんが、かなりの形が似ていることだけは間違いありません。ただこうした相場に至るファンダメンタルズの材料は全くことなるものですから果たしてチャート形状だけで判断するのが適正かという問題は残ります。
実はAIがもっとも得意とするのがこのアナログチャート分析
チャートの形状が同じだから同様のことが起きるなどという稚拙な分析を利用して取引しても本当に大丈夫なのか?という素朴な疑問は誰でも思うものですが、実はこうしたチャート形状の似たものを異なる金融市場を含めて気が遠くなるほどの枚数から相似形を見つけるという作業は今AIがもっとも得意としているものなの
です。つまり相場を動かす要因を集めてその影響度などにプライオリティをつけてどうなるかといった分析は実はAIはほとんどしていない状況で、人が動かしている相場だからこそ非常に近似系のチャートをさがしたほうが先行きを見事に当てる可能性が極めて高いという結果も出ており、かなりのファンドなどもこうした分析結果を現実の投資取引にすでに相当利用している状況です。
1998年と同じならば8月は想像以上に激しい売り
既に8月は月初から激しい売りになっているのはご存知の通りですが1998年の場合市場に起こったことは今とはまったく別ですが、年初から上昇したS&P500は結局20%近い上昇を8月中に殆ど吐き出してしまうというかなり厳しい事態に追い込まれています。
これが今年もまったく同じように起こるかどうかはわかりませんが8月に入ってからNYダウだけでも1400ドル以上下落しているわけですからこれが1998年と同じ動きになるなら悲劇的な状況になりかねないというわけです。
この1998年は8月に大幅下落したあと一旦値を戻しますが、ダブルトップの形状で10月にまた激しく売られる局面がありここまで酷似するとなると痛手は相当なものなるリスクがあることになります。今回は米中の政治的な紛争に起因しているわけ
ですから1998年のアジア通貨危機とはまったく材料の異なる状況が下げを先導していますが、材料はなんであれ下落は下落と考えるとまだまだ下がるリスクは残されそうです。
6日のNY市場は一旦は相場が回復はしていますが、まだこの暴落相場は始まったばかりで、しかもその原因はきわめて政治的なものですから、ここからどれだけ下げるかは全くわからない状況です。くれぐれも慎重に対応していくことが望まれるところです。