2月11日、日本時間では12日の午前0時から米国下院議会で開催された半期に一度のパウエルFRB議長の議会証言で、現在行われている隠れQEという呼び名も高いTビルの購入について、同議長は将来的に減額する意向であることを強調したうえで、今年6月までは少なくとも継続する意向を明確にしました。
現在、連日のように米株相場が大きく上昇し史上最高値を更新しているのはまさにこの短期のレポ市場対策で、NY連銀が多額の資金を直接供給していることと、月額600億ドルのこの滝債購入、通称隠れQEと呼ばれる資産拡大策のおかげであることは間違いなく、これがどこまで継続するのかについて市場は非常に注目をしてきたと言えます。
しかし今回妙に減額を強調しつつも、パウエル議長が直接6月までの継続をはっきりしたことから、株式相場が安心して買い向かう市場が果たして継続するのかどうかに大きな注目が集まりそうです。
この隠れQEの話は通常のFOMC後の会見ではあまり多くを語られてこなかった部分であるだけに、今回の議会証言で明らかになったといえそうで、市場ではもはやFRBの利下げよりもこちらの部分に大きな関心が集中している状況です。
果たしてこの相場が強気派の読み通り、6月まで続くかが大きな問題
ヘッジファンド勢は今年も顧客からの解約が相次いでいるようで、かなり投資資金を減らす動きになっているようですが、直近の米株の暴騰相場は千載一遇のチャンスであることから多くのファンドマネージャーは少なくとも、5月の決算までは強気の買いで相場に臨んでいるようです。
弾劾裁判を辛くも逃れたトランプ大統領も、新型肺炎で中国2025の主軸をなすとみられていた武漢の状況を見て、対中国戦略をこの時期にさらに強めようとする強気な姿勢にではじめているようです。
11月の大統領選挙本番までは株価はどんなことがあっても崩させないのではないかという読みも市場には広がりをみせています。
こうしたことから米株市場はとにかく強気一辺倒で、新型ウイルスの問題は完全に無視した状況が続いています。
また6月にFRBが隠れQEを終了させても、相場に異変が起きればすぐに再開するのではないかといった楽観論も広まりつつあります。
相場に慣れたエキスパートはこの最終上昇局面から既に降りている
しかし過去のケースを見る限りうまくいかないのが株式相場であり、すでにピーク感のあるS&P500市場ではETFを使って売りに回る向きもではじめており、何があっても強気相場継続となるかどうかはまだ良く分らなくなっているのが実情です。
ここからいきなり想定外の事態が起きれば突然相場はリスクオフへと急展開する危険性もあるだけに、相場状況を見守る必要がでてきているようです。
特に長年相場に関わり大きな利益を上げている著名な投資家は、既にこの上昇相場から降りて大きな下げが到来するのを待っているともいわれ相場の見方は人によって異なる状況になってきています。
いずれにしても、FRBが今の緩和措置を6月までは継続すると明言したことは強気派にとってはかなりの援護射撃であり、その読み通り相場は上昇を維持することが考えられます。
しかし、どこかでとん挫し始めた場合にはいきなり反転相場になることも十分にありえますから、この辺りをどう判断するかがここから数か月の相場の大きなテーマになりそうです。
為替の方は株式相場に比べるとかなり慎重であり、暴騰相場にそのままついて行くような動きにはなっていないのも気になるところです。
実需の動きが大きく影響するのが為替相場ですから、株式市場よりもリスクへの感応度も高そうで、新型肺炎についても決定的な問題がでればすぐにリスクオフの展開に切り替わることも想定しておかなくてはなりません。
直近のFRB主導の中央銀行バブル相場はこれまでのバブル相場の末期とは異なり、限られた市場参加者による全方位の市場バブルであるだけに決定的な過熱感というものもよく感じられません。
崩れるときだけは過去のバブルと同様の動きを見せる可能性は高そうで、引き続き注意を怠らない努力が求められそうです。