Photo Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-03/Q6MHU7DWX2Q301

3日のNY市場ではG7の電話会合が開催されましたが、これといった決め手の内容が打ち出されなかったことを受けて、米国FRBが先行する形で3月のFOMCを待たずに0.5%の緊急利下げを実施しました。

これまでも利下げは株式相場が好感する政策であることから一時的には20、0ドル近い上昇となりましたが、その後会見を開いたパウエル議長の口から新型ウイルスに関する経済への影響がどこまで続くかわからないといった発言が飛び出したこともあってか市場はさらなる不安に見舞われることとなり、結果的には785ドル安で引けるという下落相場を示現することとなってしまいました。

日銀をはじめ各国も同様の緩和措置に臨むことになるのでしょうが、果たして株価の下落を抑えることができるのかがここからの相場の大きな問題になりそうです。

ドル円はとうとう106円台に下落

日米の金利差が今回の利下げでさらに縮小している以上、ドル円がここから大きく上昇軌道に戻すのは無理がありそうですが、すでに東京タイムでもドル円は106円台に沈み込む時間帯が示現しはじめておりここから、コロナウイルス起因でどこまで下落するかにも市場の関心が集まりそうです。

結局FRBの利下げでリスクオフの安心資産への資金シフトがかなり強く始まっており、スイスフランとともに円が買われる動きが顕在化してきています。

これがどこまで続くか、リセッションは金融危機であれば金融当局の利下げや量的緩和でなんとか抑え込むことができるはずなのに、今回のように相場が別の見立てをしてしまうのは大きなリスクであり、今後新型ウイルスが実態経済に及ぼす景況が明確になってくれば一段の下げも覚悟しなくてはならない状況に陥っているようです。

ウイルス起因のパニック相場はだれも経験したことがないもの

個人投資家としてはこのような新型ウイルス起因のパニック相場というのはまったく経験したことがありません。

どのように行動すべきか今一つ良く分らない部分もあるかと思いますが、実は金融業界自体そのような経験はほとんどないのが実情です。

SARSにしてもMARSにしても市場に大きな影響をもたらすことはありませんでしたし、スペイン風邪は大正時代の話ですから、そもそも金融市場にどのような影響があったのかを具に知ることはできない状況です。

ほとんどの市場参加者はプロも個人も悩みながら相場に向き合っているのが実情で、ここからどうなるのかを言い当てられる人は今のところ誰もいないというのが本当のところと言えます。

これは金融政策にあたる中央銀行も似たようなもので、とりあえず株価対策で利下げをしてみてもまったく効果がなかったことに対してはパウエル議長も頭を抱えているはずで、この時期相場に入ってみてよく動きがわからないと思った時には躊躇なく一旦外にでて様子を窺うぐらいな慎重な姿勢が必要になってきそうです。

アルゴリズムやクォンツのファンドは延々と無表情で売り買いをすすめているものと思われますが、よくあるのはこうした相場で売り買いを積極的におこなっても結局儲からないということで、相場にエントリーしていることはあまり意味がない時間帯である可能性は高そうです。

個人投資家が判断に迷うのはいわば当たり前のことですから、証拠金を守るためにも迷ったら一度相場の外にでて落ち着いて見回してみることが重要です。