株式市場はWHOが遅まきながら新型ウイルスの感染をパンデミックと認定したことに加え、トランプ大統領が30日間欧州から米国への入国を制限する旨のオペレーションを表明したこともあり、大幅な下落を示現することとなりました。

サーキットブレーカーが発動したのも今月2回目で、NYダウはとうとう2万1000どる台にまで下落するというかなりのレベルに陥りつつあります。

FRBはなんとかこの株式相場の暴落と市場の流動性を確保するために、日本円にして160兆円分のレポオペを12日、13日に実施するとともに600億ドルの国債購入をQE4として正式に実施することも決めていますが、果たしてこうした動きでウイルス起因の実態経済悪化からくる相場の暴落を止めることができるのかが非常に注目されるところです。

今回の暴落の形はますます1929年の世界恐慌に似てきている

このコラムではすでにご紹介していますが、アナログチャート分析と呼ばれる手法でチャートそのものの形から近似性を見つける方法を使いますと、相場の下落はまさに1929年の世界恐慌を彷彿とさせるものがあり、この先が果たしてどうなるのかが非常に気になる状況となってきています。

アナログチャート分析

現代ではこうしたアナログチャート分析はAIがもっとも得意とするチャート形状分析ですが、ここから先も近似性を発揮することになった場合一旦戻したところでさらに大きな下落を続ける可能性がありそうで、注意が必要になってきています。

米国ではトランプ大統領が就任した当時が1万8000ドル割れ程度のレベルでしたから、ここまでの3年3か月あまりの相場の無理やりの上昇がすべて剥落する可能性も高く、中央銀行バブルもいよいよ新型肺炎の感染をきっかけにして崩壊の過程をたどりそうな勢いになってきています。

アベノミクスも完全終了が見えてきている状況

こうした株の大幅な巻き戻し状況は米株に限ったことではなく、日本株もまさに同様の事態に陥り始めています。

HSBCの分析によれば、日銀が人工値付け相場で無理やり買い上げた日経平均の下駄ばき部分はほぼ最高値段階で8000円程度と見られていますから、1万6000円水準まで後退した場合には完全にアベノミクスの上げを剥落することになりそうで、先物はすでに1万7000円水準に迫っています。

短期間にかなりの下落を示現しています。

また一旦戻りを試すことも十分に考えられますが、すでにPKO軍団が買い向かっても相場を支えられる状況ではなくなりつつあり、さらに下落が進む可能性が高まってきています。

過去の暴落相場の経験がほとんど役に立たない状況を示現

通常下げ三波と呼ばれるぐらい一気には下落しないものですから、まだまだ下落は序の口であることは意識しておく必要がありそうです。

今回の暴落が1987年のブラックマンデーや2008年のリーマンショックの暴落とは大きく異なる部分があるということです。

まず87年のほうは、ジョージソロスが大量に株を売り始めた噂が広まって始まったばかりのコンピュータ取引が仇になり大きな暴落を引き起こしたものの、この下げはほとんど経済に影響を与えないまま戻るといういわば、フラッシュクラッシュの元祖のような下げであったことが挙げられます。

これは明らかに下落とは異なるものです。

また2008年の暴落は米国の金融市場という枠組みで起きたまさにその名のとおりの金融危機ですから、利下げや流動性資金の共重などでなんとか相場の下落を抑えることができたわけです。

今回は新型ウイルスを起因として実態経済が大きく悪化する状況に陥っているわけですから、緩和がウイルスの除去に功を奏するはずもなく、これも比較するのには無理がある状況です。

新型ウイルスがもたらす強烈な相場の暴落は今のところ市場参加者の誰もが先行きを見通せておらず、ここからどれだけさらに下落するのかを正確に語れるものはいないのが正直なところです。

チャートを使ったテクニカル分析もすでに半分壊れてしまっているのが実情で、テクニカルだけで勝負していくのにも不安が残ります。

とにかく無暗に取引せずに生き残ることを重視すべき

こうなると身を守る唯一の手段はとにかくすべてのポジションにストップロスをおくか、またはトレーリングストップをおくことで暴落に巻き込まれ、資金の大半を失うといったことがないように努めることしか個人投資家がわが身を守る手立てはないのが実情です。

また適当なレベル感だけで買い向かいますと、平気で底が抜けて大きな下落に巻き込まれかねませんから、迂闊にポジションをとるのも控えるべき時間帯になっているようです。

国内は3月末ということで、株価もドル円も一定の水準にまで戻して年度末を迎えたいと思っている市場参加者は多いはずですが、今年に関してはそうした思惑どおりに相場が動くことになるかどうかは怪しくなってきているようで、例年の動きと同じものを期待するのはリスクが高くなりそうな気配が強まっているところです。

いずれにしてもまだ取引チャンスはこれからたくさん発生しそうですから、焦ることなくしっかり相場を見極めることに集中したいところです。

現実問題として相場は相当傷んでいるようで、市場から退場を余儀なくされている投資家のあふれていることが想像されます。

くれぐれも感覚だけで勝負するようなことがないように、自制心をもって行動したい時期といえます。