Photo Reuters https://www.bbc.com/japanese/52020509

どうなるのか注目されてきた東京五輪の開催問題ですが、いよいよ日本政府とIOCの調整がついたようで来年への開催延期が正式にアナウンスされる運びとなったことが複数のメディア報道で明らかになりました。

どこで収束するかわからないままに1年の延長を決めて、本当にいいのかどうかよくわからないところもあります。

金融市場は一定のあく抜けができたということもあるようで、月末に向けて相場が上昇する動きとなっています。

東京五輪が延期になるところまで明らかになり、新型コロナウイルスの国内感染者数が一気に増えることで、とんでもない事態に陥ることも想定しておく必要がでてきており、株や為替に大きな影響を与えそうな状況になってきています。

世界的にみると日本はまだ感染拡大初期の状況に

JPモルガンがなかなか面白いチャートを開示しています。

これは新型コロナウイルスの感染レベルのステージを各国別に著したものです。

まず先行してウイルス感染が拡大した中国に関しては、すでに収束に向けたプロセスに入り始めていることがわかります。

このステージにあるのは今のところ中国だけですから、うまくいけば真っ先に収束を宣言してこの感染集団から一抜けることも可能なように見えます。

逆にもっともピークに向かっているのは韓国で、それをイタリアやイランが追いかけている状況です。

確かにイタリアの感染報道は猛烈なものになっていることからも、このポジションにあることは間違いなさそうです。

そのあとこれから感染が拡大しようとしているのがスペインやドイツ、フランス、米国、英国であり、日本については感染者数が著しく少ないことから、まだ感染加速の初期段階として見られていることがわかります。

しかしながら現実には、PCR検査を行っていないが故に感染者数が増えていないだけの可能性が高く、五輪の延期を機に精密な検査が広がることになれば実は状況が一変することも考えられます。

東京、大阪のロックダウンもありうる状況

とくに1300万人を抱える東京都では感染者数が著しく少ない状況となっています。

ここから実際に感染者数が爆発的に増えた場合にはニューヨークやロンドンと同様にロックダウン、都市封鎖が実施される可能性は高そうで、同様のリスクは大阪などの都市部でも同じように高くなりそうです。

こうなると金融市場には再度本邦起因の問題として大きな影響がでることは必至であり、主要国が一旦感染が一息ついたようでも日本だけがウイルス敗戦国としてその影響を長期に引きづりかねない状況に直面していることが見えてきます。

米株はすでにトランプ政権スタート時の価格水準を割り込み、完全に中央銀行バブルで上昇した部分を剥落するといった相場状況を見ていますが、日経平均についてはまだそこまでの下落には直面しておらず、ここから新型コロナの問題から相場が再度大きく下落した場合には為替も新たな展開が待ち受けることになりそうで、引き続き注意が必要な時間帯になってきているようです。

米国ではトランプ大統領がイースターである4月12日をめどにして、経済活動を再開したいなどと都合のいいことを口走っていますが、実際にこのタイミングに収束がはかられる保証はどこにもなく、各国ともに為政者がとにかく早く経済を元に戻し株価を再上昇させたいと焦っている姿が見え始めているようです。

米国の場合大統領選挙もあり、そうした焦りがでるのは判らないでもありませんが、パンデミックが政治に翻弄されることになると結果はさらに厄介なものになりかねないだけにこちらも注意が必要なようです。

金融市場ではとにかくパンデミックで世界的な感染や経済停滞に直面したことがないだけに、相場は報道ベースで相当上下に振れる展開となっています。

こうしたボラティリティが普通の状態に回復するのには最低でも8週間はかかると言われていますから、少なく見積もっても5月の連休明けぐらいまでは延々と足もとのような相場が続くことは覚悟しておく必要がありそうです。