株式市場は日米ともに下落から一息ついた印象が強まっています。

それでも大きく値を戻した翌日にはまた下落するというボラティリティは続いており、過去の事例から考えますと暴落から8週間程度時間が経過しないことにはこのボラティリティの激しい相場は落ち着かない状況になりそうです。

リーマンショックとは暴落原因が全くことなりますが、2008年の場合一旦底値を付けてから半年後に二番底をつける暴落が起きていますから、長い目で見た場合には8月ごろまで相場のさらなる下落に注意していく状況が続きそうです。

そんな中で多くのヘッジファンドが今回の暴落により多大な損失を被っていることが徐々に詳らかになってきており、利用者のヘッジファンド離れが進むことでさらに様々な市場で売りが加速する危険性がでてきているようです。

あらゆる投資形態のファンドが莫大な損失を被っている

すでにヘッジファンド業界では、ミレニアム・マネジメントやポイント72などがいくつもの運用チームを閉鎖しはじめ解雇もはじまっているようですが、今回ばかりはかなり運用成績の高さを誇った有名ファンドでも大きな損害がでていることがわかりはじめており、その損失はどうやらリーマンショックの時を超えそうな勢いになってきているようです。

Photo Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-09/Q6XH3PT0G1L001

まず、レイダリオが率いる世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターアソシエイツといえばリスクパリティ戦略をスタートさせた老舗的存在ですが、同社も3月までの相場の暴落でほぼマイナス25%程度の損失を被ることになっており、2008年のリーマンショック後でも9%以上の収益を上げた状況とは大きく異なっていることがわかります。

またAIを駆使するクォンツ系として大きな利益を上げてきているルネッサンステクノロジーズも同時期にマイナス25%程度を損失を被ったようで、手法が変わっても大手がほとんど手痛い損失を食らってしまったことが明らかになっています。

2月までは調子がよかった株式のロングとショートを組み合わせるロングショート戦略のファンドも平均してマイナス14%近い損失を食らっているとのことですから、どのような戦略を実施しても多くのファンドが多額の損失を抱える結果となっているのは間違いないようです。

猛烈な市場でのドル買いもファンドの窮状に起因か

この間マージンコール、いわゆる追証を求められてかなりのファンドマネージャーがドルキャッシュの確保のためにあらゆる手持ち商品を売るなりして奔走する場面が見られたようですが、25日には一旦そうした追証の問題も解決したというよりは期末を前にして、デフォルトしたところはすでに損切をしたようで一旦落ち着きをみせています。

しかし101円台から111円台半ばまで戻したドル円などは、完全にこうした追証対策でドル集めのためにファンドが動いた結果である可能性は高そうで、すでに万事休すのファンドがでたことで落ち着いたように見えている可能性が高そうです。

破綻や閉鎖による市場への影響はまだまだこれから

こうしたファンドの破綻や閉鎖、また利用者が大量に資金を引き揚げるような動きは今後とも相場に大きな影響がでることは必至のようで、主要なファンド勢がさらにあらゆる資本市場から資金を引き揚げる動きが加速するリスクも高まりそうな状況になってきています。

多くのファンドは5月末が半期決算であることから、4月や5月にまた売りが多数でることも十分に想定できるだけにここからの相場の動向にも注意が必要になってきています。

とくに肝心かなめの新型コロナウイルスの感染問題は今のところまったく収束の見通しがたっていません。

ここから相場がさらに下げることになれば、ヘッジファンド勢の息の根を止めかねない状況に陥ることも考えられ、安心はできないところにあります。