3月に突然始まった新型コロナウイルス起因の暴落相場では、これまでに見たことがないようなドル買い相場が途中から示現することになり、多くの個人投資家が図らずも損失を食らう結果となったようで、株式市場を含めると相当市場は傷んでしまったことが否めない状況です。

ドル円が一旦フラッシュクラッシュのように101円台まで下落してしまったのは、比較的納得しやすい動きとなりましたが、そこから市場全体で追証などの支払いのためにドル買い需要が大きく膨らみ、結果として2月20日につけた112円20銭レベルを再度つけかねない位の上昇をドル円が果たしてしまったのは意外な相場となりました。

週明けからはいよいよ4月相場となりますが、懸案の新型コロナ関連では世界的な感染が一段落したわけでもないですし、国内では東京を中心として都市封鎖の可能性が逆に高まる始末で、ここからの相場の動きは容易に想像できない時間帯に入ろうとしています。

元のセンチメントに戻りつつあるドル円

こうした相場環境ではありますが、ドル円については3月23日からの週の特異な動きは一旦終了したようで元の相場のセンチメント、ほかの市場との相関性が復活しつつあることが強く感じられます。

とくに米株、日本株との相関性は戻ったようで、株が下落するのにドル円だけドル買い需要で上昇するといった特殊な動きは完全に終焉した感があります。

また米10年国債金利との連動性も戻ってきている状況で、3月相場の突拍子もないような展開はここからは心配しなくてもよさそうな雰囲気になってきています。

ドル円 ドル円月足推移

マクロ的にドル円を月足で見てみると、2月後半からいろいろなことがあったものの結局4年近く続いた三角持ち合いの枠組みからはまだ出ずに上下に長いひげをつけて、この中に納まる動きとなっていることがあらためて理解できます。

ここからは二番底、三番底をためしにいく展開も考えられそうでこのまま三角持ち合いの中で推移するなどとは言い切れません。

下手をすると今年の最高値、最安値を一旦つけてしまった可能性もありそうで、あらためて4月以降の動きに注目したい時間帯となっているようです。

3月後半のドル円は112円を試すかのように上値を追う相場となりました。

実に5回やっても112円を突き抜けることはできずに下落に転じており、市場のマージンコールを背景とした強烈なドル需要も一山超えたことから、ここからは一旦下方向に再度動き始める可能性を考える必要もありそうです。

ドル円1時間足

実際、米株市場でのマージンコール需要がピークになったと思われる3月25日以降は、ヘッジファンド勢も閉鎖を決定するところは既に腹をくくった感があり、為替市場でドルを調達するという需要は一気に減退したことが見えてきます。

実にチャートでも3月25日のNYタイムから完全に上昇を終焉させる形となり、29日のNYタイム終了時までに実に4.8円近い下落する結果となりました。

ここからのドル円はさらに下落するといっても3月につけた下値と2月の最高値の半値戻し、つまり106円前後が意識されることになりそうですが足もとの水準からみると、もう2円程度は下追いするリスクを考えておいた方がよさそうな状況です。

本来4月というのはドルが買われやすくドル円も後半まで上昇しやすい相場になるものですが、今年は既に上値も下値もやってしまった感があり、年度末、四半期末の需給から若干ドルが買われる時間帯があったとしても再上昇を果たすとは期待できないものがありそうです。

ユーロドルは逆に反転上昇

ドルキャッシュの需要が一息ついたのはユーロドル市場にも顕著に現れることになり、ユーロドルは1.11470まで値を戻して週の取引を終えています。

ユーロドル 1時間足推移

これは3月9日つけた1.14926から3月23日につけた1.063の61.8%戻しまで達成しており、いい線まで戻した可能性がでてきています。

ファンダメンタルズ的にみると欧州経済は決して調子がいいわけではなく、とくにイタリアの財政悪化は新型コロナの感染を含めて非常にクリティカルな状況となっています。

ここからユーロが一方的に強さを見せるとは想定できないところにあります。

こちらは米国における新型コロナの感染状況と株価の推移次第で、ドル高方向に反転する可能性を考えておく必要がありそうです。

このように4月相場はまだ不安定な状況や不確定要素が多いものの、一旦の急落といったクリティカルな状況は一息ついたところにあり、引き続き相場の状況を見ながらトレードしていく柔軟さが求められることになりそうです。