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安倍晋三首相は7日に新型コロナウイルスの感染拡大を受け、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく国内初の緊急事態宣言を発令しました。

感染が拡大している東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県で8日午前0時から効力を発生させることとなります。

この緊急事態宣言は、海外諸国における都市封鎖措置に比べると拘束力の低いものであることに加え、そもそもPCR検査を徹底実施していないことから、どこがもっとも感染が酷いかを正確に把握できていないため、果たしてどれだけの感染抑止効果があるのかが注目されるところです。

それとともに金融市場にとっては大きな懸案事項となるのが経済の壊滅的な落ち込みの問題です。

非常事態対象地域の都道府県が発令する休業要請が与える景気へのインパクトが非常に危惧される状況になってきています。

サービス業務中止要請は実に幅広いレベルに

現在、東京都が正式に中止を要請しているビジネスは以下のようなものになります。

大学や専修学校など教育施設、自動車教習所、学習塾、体育館、水泳場、ボウリング場、ゴルフ練習場、バッティング練習場、スポーツクラブ、劇場、映画館、ライブハウス、集会場、展示場、博物館、美術館、図書館、百貨店、マーケット、ショッピングモール、ホームセンター、理髪店、質屋、キャバレー、ナイトクラブ、バー、個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、パチンコ店、場外車券売場、ゲームセンター等ということになります。

しかし国が現金を支給しようとしている人たちの対象条件は相当厳しいものがあり、こうした業態の人々が自主的に休業を余儀なくされたときの所得補償はまったく設定されていないことから、消費の落込みがそのまま各サービス業の壊滅的なビジネスの打撃につながることは間違いなさそうです。

まず、この4~6月の四半期だけでもどれだけのGDPの縮減してしまうのかに関心が集まりそうです。

瞬間的に年率3割のGDP縮減で35兆円超の消費の落込みの可能性

気になるのはこうした宣言のもとで、商行為の制限がどれだけの消費の低迷・縮減になって戻ってくるかということです。

GDPの7割を個人消費に依存する米国ですら、30%程度のGDPの縮減を既に想定しています。

米国に並んで60%以上を個人消費に依存する日本で、しかも一都六県というもっとも消費ボリュームの大きな地域での商業活動の制限が長引くことになれば、簡単に年率レベルで30%を超える縮減することが予想されるところです。

仮に四半期だけの問題で終わったとしても、30兆円から40兆円程度の落込みとなることは避けられず、今回はサービスビジネスにおける消費のかき入れ時でもあるゴールデンウイークを挟んだ業務停止措置ですから、一か月だけで終了することができたとしても相当なダメージを受けることは覚悟せざるを得ない状況です。

また、景気の大幅低迷からくる中小企業の倒産や個人企業の廃業など副次的な問題に波及した場合には、想定をはるかに超える経済的ダメージを受けることも覚悟せざるを得ない状況です。

安倍政権は今回事業規模108兆円におよぶ経済対策を実施するとしています。

いわゆる真水の国から投入される資金は40兆円を下回る規模であり、消費の落込みやサービスビジネスに従事する人たちの給与などを補填するのとは程遠い内容であることから決定的な空振りに終わるリスクは高そうで、他国に比べても日本だけが大きく景気を後退させてしまう危険性が高まります。

日本株は一定の落ち着きを見せていますが、下落はこれからが本番と見ている投資ファンドも非常に多く、ここからの相場の動向にはより一層の注意が必要になってきています。

為替も株価次第で動くことは容易に想定されるところですが、ドル高が一段落ついたところで過剰な緩和措置によって出回りすぎているドルが原因でドル安が一気に襲ってくる事態もありそうで、引き続き相場の状況を注視していかなくてはなりません。