株式市場は依然として大きなボラティリティを維持しながら、しきりに上下動を行っています。

為替の方はそれについて行くそぶりは見せるものの、すべての通貨ペアでトレンドらしいトレンドが出ていないようで、とくに相場の主流となるユーロドルやドル円ではランダムな比較的幅の広いレンジ相場が延々と続いている状況です。

株式市場だけを見ているトレーダーからは、既に新型コロナは株式市場では終わっているといった楽観的な見方も飛び出しています。

実態経済に及ぼす影響はこれからであり、感染者数が減少すれば即V字回復といったような単純な話ではなくなることが見え始めています。

とくに米国の失業率が短期間に急激に上昇してしまったのは見逃すことのできないものがあり、下手をすればこのまま世界恐慌時の25%に迫るところまで上昇する可能性を指摘する向きもではじめています。

4月第一週に発表になったNFP・非農業者雇用者数の推移でもすでに莫大なマイナスになっており、5月に発表される4月分はこれをはるかに上回る悪化が予想されています。

上のチャートはNFPの悪化分の時系列的な推移を表しています。

3月分段階で、2008年のリーマンショック時を軽く凌駕しようとしている点が注目されるところです。

リーマンショックは米国の金融市場におけるサブプライムローンに起因した金融危機なので、リアルな経済には一定の時間をかけてネガティブな影響がでました。

今回の新型コロナ危機はいきなり実態経済が猛烈に悪化し、消費が殆どストップする状況になっているので、雇用への影響はリーマンとは比較にならないものがあります。

株式市場はFRBの過剰緩和で一旦戻る可能性も

3月FRBは、とにかく買い付け上限無制限という資産の買い付けを実施しはじめており、相場はQE3実施時期よりもはるかに激しい金融緩和が起き始めています。

こうなると新型コロナはどうであれ、さらに中央銀行バブル相場が継続するのではないかという期待も高まりつつあります。

日本円にして500兆円超という規模にまで膨れ上がり始めているFRBのバランスシートは、現状ブルーのラインで示されています。

ここから今年中に1000兆円レベルまで上昇するのではないかという見方が米国の金融大手のアナリストの分析からも出始めているので、昨年以上に市場にまかれた資金が再度株式市場に流入して大統領選挙に向けて相場を思い切り押し上げるという楽観論がまかり通るのも無理はない状況といえます。

ただ企業の株価はやはり実態経済が安定化し、しかも個別企業の収益が上昇しはじめて株価も上昇するので、新型コロナの問題で経済が広範に疲弊している中で株価だけが無理やり元の上昇軌道に戻ると考えるのには無理があり、見方によっては向こう3年位はリセッションによる厳しい相場展開が続くという観測もではじめています。

3月の相場暴落でかろうじて破綻や解散を免れたヘッジファンドの多くは、ここから米株をはじめとする金融市場がさらに大底に向けて動く可能性を真剣に想定しはじめているようで、新型コロナの影響が短期に終わると想定している市場参加者は非常に限られていることが改めて理解できます。

米株市場は市場参加者が極端に少ないことから、政府が主導するPPT・プランジプロテクションチームが暗躍して相場を持ち上げたり、AIとアルゴが感染者数が減少するたびに相場を買いあがるような動きをすることから、延々とボラティリティの高い乱高下相場が延々と続いています。

FRBの過剰緩和でこの動きが再上昇過程に一時的に戻れるのかどうかには注目が集まりつつあるようです。

実需がある為替は多少動くもののトレンドは完全消滅

為替は株ほど楽観的な雰囲気はなく、実需があることからそれなりの動きは日々継続しているものの方向感は乏しく、すでにランダムの幅広いレンジ相場の領域に入り始めている状況です。

Data みんなの株式 FX相場

主要通貨ペアの1時間足を見てみますとそれなりの動きはあるものの、3月時のような大きなボラティリティは一旦収まりを見せていることがわかります。

ただ、どの通貨ペアにもトレンドは出ておらず、ランダムな動きが継続中で決して取引のしやすい状況にはありません。

また、南アランドやトルコリラといったいわゆるスワップ狙いの新興国通貨の取引も現状では決して手を出すべきものではなく、さらに様子を見守ることが必要になってきています。

残念ながら為替相場は、長時間ポジションを保有して儲かるような地合いではなさそうで、スキャルピングのような手法を駆使するトレーダー以外は様子を見るべき時間帯に入ってしまったようです。

このタイミングでの迂闊な相場への参入は投げや踏みに巻き込まれやすいだけに、よくわからないと思った時にはできるだけ様子見をして状況をしっかり確認することが重要になります。

新型コロナ相場は決して収束に向かってはいませんので、ここから大きな利益機会に遭遇するチャンスはありそうです。

そのときのためにも、無暗に証拠金を減らさない姿勢を維持していきたいところです。