4月第三週のドル円は比較的動きの少ない一週間となり、徐々に上値が重い展開になり、週後半には108円台に戻るのも難しい動きとなりました。

ドル円4時間足推移

4月6日には109.382円をさらに上伸をうかがうかに見えたドル円でしたが、その後は日を追うごとに上値が抑えられる状況でチャートを見ても分かる通り、週後半はなかなか108円台にも戻れずに推移するようになっています。

しかし、下値もそれなりに堅く107円割れにはそれなりの買い注文もあることから、ディセンディングトライアングルと呼ばれる三角形の上値が徐々に下落する様な形を描き始めています。

相場は原油価格の推移や新型コロナの感染状況に影響を受けながら週明けも動いて行くことが予想されますが、時期的にも4月後半を迎えるこの時期高値をつけて、次第に下落の方向に転換することも常に注意した取引をする必要がありそうです。

市場では強いドル買い需要はでていないようですが、参加者が極度に少ない中で機関投資家が米債を購入するためにドル円が下落するとコンスタントにドル買いを行うことから、下値は堅くなっているものの上値を伸ばしていくだけの材料もないことから、徐々に上値を切り下げる三角持ち合いとなってきている点が気になります。

ここから戻りを試しても結局大きな上昇ができなければどこかで反転下落となるリスクはありそうで、実際の下落はゴールデンウイークを待つことになるのかもしれませんが、どこかで小動きから再度下値を狙う動きに注意する必要がありそうです。

一旦の下値目途は106円程度となりそうですが、それを下抜けていくと動きは大きく変わることが予想されるためどの動向に注目が集まります。

3月の暴落以降かなり相場のボラティリティは低くなってきていますが、また新たな動きが示現しないか常に用心すべき時間帯になってきています。

ユーロドルも上値は重い状況が続く

一方ユーロドルのほうもそれほど大きな動きを見せない一週間となりましたが、週を通じて上値の重い展開が続いており、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも下落のリスクを意識すべき時間帯になりつつあります。

ユーロ圏は新型コロナの感染が一息つきかけている国もありますが、依然として収束には程遠いものがあります。

感染対策は結局のところ、国単位で行うという動きからユーロ圏としてまとまった政策や対策がとられていない状況で、実需以外には無理にユーロを買う理由は見つからないのが実情となっています。

ユーロドル1時間足推移

対ユーロではやはりドルを買う動きが目立ち、徐々に上値は重くなる方向に向かっていますから、リスクオフが顕在化するとユーロドルは1.07方向に向けてさらに下落する動きに注意が必要になりそうです。

トルコリラ円の大幅下落にも注意が必要

トルコリラ円4時間足推移

このコラムでは珍しくご紹介するトルコリラ円ですが、4月に入って9日夜から下落に転じる形となり4月13日の夕方ロンドンタイムに16円を割り込み、4月15日未明にはドル円の107円割れを示現、また対ドルでトルコリラ続落に伴って15.68円まで続落しています。

さらに16日早朝には15.46円まで続落して、2018年8月におけるトルコ通貨危機の暴落でつけた当時の安値15.52円を下回る動きとなりました。

一旦戻してはいるものの新型コロナに伴う都市封鎖の問題や、トルコ中銀が週明けに開催する政策決定会合でさらに利下げの観測もでているため、上値はかなり重そうで引き続き下落が危ぶまれる状況です。

このトルコリラ円でもうひとつ大きな問題になってきているのが、国内の個人投資家が挙ってスワップ狙いでロングをとってきたポジションです。

政策金利の低下が進むものの、実態経済ではインフレが過度に進んでいることから、実質マイナス金利状態になりつつあるトルコリラでは国内業者ですでに対円でスワップゼロという設定もではじめており、むしろトルコリラ円を売ってスワップがとれるというまったく逆さまの状況も現れはじめています。

こうなると本邦個人投資家のトルコリラ円の売戻が進むリスクが高まりますが、そもそも流動性の低い架空の通貨ペアですから、トルコリラ円が売られる場合ドルトルコリラの上昇とともにドル円の下落が進むことになるため、トルコリラ売り起因でドル円が大きく下落する危険性が高く、新興国通貨のクロス円下落の動きからドル円が押されて下落するリスクにも注意が必要になりそうです。

ドル円にとってはとんだとばっちりですが、トルコリラ円のスワップ狙いで長々と取引してきた個人投資家は想像以上に多いだけに、一気に解消売りが進めば価格も大きく下がる危険性がありそうです。