米国や英国では新型コロナについてはワクチン接種もかなり進み、金融市場における材量としてはコロナは機能しなくなりつつなりましたが、ここへ来てデルタ株と呼ばれる変異株がどこの国で猛威をふるい始めており、この感染拡大がリスクオフの元凶になりつつあります。
3日のNYタイム、それまで上値が重く109円に接近していたドル円は109円割れとなりました。
このタイミングでは一旦109円台に戻る動きとなりましたが、翌日の4日のロンドンタイムではADP雇用統計の数字が悪く、またしても109円割れとなったものの同日発表されたISM非製造業景況観指数が非常によいものとなったことから、それをきっかけにしてショートポジションが一斉にあぶりだされる形となり、一時109.6円を超えるレベルまで上昇が見られました。
週末は米国雇用統計が発表となりますからポジション調整もあって値は戻りやすくなっていますが、冷静に見ますとリスクオフ時には円とスイスフランに資金がシフトする様になっており、今後変異株の感染問題がさらに深刻化した場合にはドル円でも大きな円高方向に相場が動くリスクに注意が必要です。
2020年3月の暴落では直後にドル需要が強まりドル円は全値戻しに
コロナによる相場の暴落といいますと真っ先に思い出されるのが2020年3月のいきなりの相場暴落で、株をはじめほぼすべての資本市場で商品の価格が大きく下落することとなりました。
ドル円はざっと10円近い下落となりましたが、市場参加者を驚かせることになったのはそこからの動きで、ドル円は10円近い下落をみた後いきなりドル買いが強まることとなり、短時間で完全にドル買いが示現することとなりました。
また米株もコロナ禍であるにも関わらず3指数ともに大きく上昇し、全くコロナを意識しない上昇トレンド相場が持続することとなりました。
これだけ見ていますと金融市場はコロナ禍でリスクオフといった動きがでたのは序盤だけでまったく影響ない状況であったことがわかります。
今回デルタ株感染がまん延状態になった場合、相場はどのように反応するのかが非常に注目されるところですが、どうやら資金は円やスイスフランに一旦逃げる動きをすることになりそうで、問題はその後それぞれの相場の動きがどうなるのかが気になりところです。
米株市場は株価が史上最高値を更新中ですからさすがに変異株でリスクオフということになれば資金逃避から大きく崩れる可能性もあり、昨年の3月相場と同じ動きになるのか、全く別の動きになるのかが注目されます。
特に本邦市場では五輪の強硬開催をきっかけにしてかつてないほどの感染者数が確認されるようになっており、医療はすでに崩壊寸前で菅首相は中等症の患者は自宅で療養するようにというメッセージを発しつつありますが、国民の方はコロナ対応に飽きがきており、さらに五輪は実施なのに国民は県境を超えて出歩かないようにといった呼びかけにまったく納得がいかない状況に陥っています。
このままですとお盆休みは昨年と変わって多くの人が帰省したり行楽に向かうことも予想され、すでに政府では統制がかけられないところに陥っています。
こうなると他国にも増してデルタ株感染が広まることも予想されるところで、我々が考える以上にこのデルタ株感染はクリティカルな状況となっているようです。
週明けは完全にお盆休みに突入するだけにその間に強いリスクオフの状況が示現した場合、想定をはるかに超える相場の動きとなることにも注意が必要になりそうです。
ドル円の円高とともにクロス円でも円高方向の動きが強まることに警戒すべき状況といえます。