8月27日のジャクソンホールはオンラインによる会議となってパウエルFRB議長の講演も大きな変化なく通過し、今週からいよいよ9月相場に突入します。

基本的には9月第一月曜日に設定されているレイバーデー、今年は9月6日ですがこれが過ぎると夏休みは完全に終了し、多くの市場参加者が相場に戻ってきます。

今週一週間はまだ夏休みの名残がありますが、9月に入るとそれまでとは全く異なる相場の雰囲気も醸成されるので、8月の延長線上で相場を考えるのは非常に危険です。

週末には米国雇用統計が発表となりこちらも重要ですが、それ以外の材料が相場を動かす可能性を考えておかなくてはなりません。

8月16日にタリバンがアフガニスタンの首都カブールを全権掌握したことによりそれまでの政権は完全に崩壊しましたが、意外にも米株相場は大きく反応することはなく、パウエル講演を経て米株三指数が史上最高値をつけるほどの上昇トレンドを継続中です。

しかしISISによるカブール空港周辺での自爆テロなどが続いており、米国も無人機による報復攻撃を開始していることから、少しの材料で新たな戦争状態に突入する危険性も出始めています。

地政学リスクによるリスクオフともなればスイスフランや日本円が買われやすくなるので、本来9月前半はドル高円安が再来する時期ですが、いきなり円高が襲ってくるリスクを意識しておきましょう。

ドル円はテクニカル的には下値は堅そうだがどこまで上昇できるかが問題

例年8月は円高が進みやすい時期でしたが、今年に関しては108円台に下落したもののそれ以上走ることはなく、月末でもほぼ月初と同じようなレベルでドル円は推移しています。

問題はここからの動きですが、9月中盤まではドル円は上昇しやすい動きになるので下落局面はチャートを見ながら拾っていくことが重要になりそうです。

ただし冒頭にもありますがアフガニスタン関連でなにかイレギュラーな動きが出た場合の激しいリスクオフに見舞われるリスクに対応して、しっかりストップロスを置くといった対策をした方がいいでしょう。

ドル円4時間足推移

ユーロドルも比較的弱めな展開継続か

ユーロドルはこの8月相場で20日のロンドンタイムに1.16638と約9か月ぶりの安値をつけましたが、その後はかなり戻りを試す展開になってきています。

一旦テクニカル的な三役逆転の状況は解消していますが、こちらもアフガニスタンを巡る地政学リスク次第では大きくドル高にシフトしやすいだけに上値追いは禁物になりつつあります。

したがって押し目は買いたいところですが、それなりに値を戻した時点でしっかりリカクして次の動きに備えることが重要となりそうです。

ユーロドル4時間足

オセアニア通貨のクロス円は8月末から9月の買い場探し

一方豪ドル円やNZドル円といったオセアニア通貨のクロス円は、8月に下げたあと12月に向かって上昇しやすいことから、長期保有としてこの月末もしくは9月月初に買い持ちしていくと大きな利益になる可能性が高まります。

ただし今年の8月については豪ドル円もNZドル円も円高にはならずに月の取引を終了しているので、こうした日柄取引が今年はしっかり機能するかどうか見極めたいところです。

どちらの通貨も年末までで見てみると、ここ20年の動きは8割以上の確率で上昇していますが、今年は例年と動きが違うのなら一旦損切して次の機会を待つ方がいいかもしれません。

豪ドル円4時間足推移
NZドル円4時間足

豪ドル円とNZドル円のチャートを比較するとかなり似たような動きをしていますが、利上げ観測が強いNZドル円が強く、ここから押し目を買うなら豪ドル円よりもNZドル円を選択した方がいいでしょう。

ただ、どちらの通貨も例年ハロウィン辺りに押し目を作りやすいので、このタイミングに慌てて買わずにしっかり押し目を待つというのも一つの考え方です。

9月は実需も機関投資家も投機筋も相場に戻って来るので8月とは全くセンチメントの異なる相場になりやすくなります。

慌てることなく実際の相場の動きをしっかりチェックしてから参入する、という落ち着いた対応が必要になるでしょう。