いよいよ自民党総裁選がスタートしています。
立候補したのは岸田文雄氏に続き、高市早苗氏、河野太郎氏、野田聖子氏の4名で総裁選に立候補するには、自民党の国会議員20人の推薦が必要となることから今回は昨年と違ってかなり混戦模様の選挙となっていることが窺われます。
投票は同党所属の383名の国会議員と全国の自民党党員・党友110万人の投票により決することになり、議員票と党員票がそれぞれ383票で、合計766票での戦いになります。
議員票は、衆参両院議長を除く自民党の国会議員383人が1票ずつ投票する権利を持ち、党員票は全国に約110万人いる党員・党友が各候補者に投票し、その得票数に応じて383票をドント方式で配分する仕組みです。
候補者のひとりが過半数の得票となれば即当選、いずれの候補者も過半数に届かない場合には上位2者による決選投票となります。
国内メディアはこの話題で持ち切りですが、果たして為替相場には影響がでるのかどうかが気になるところです。
ドル円にはほとんど影響しないというのが大方の見方
政権交代といえば2012年に自民党が総選挙で与党に返り咲き、国策で株価上昇を円安誘導を行い始めたことに海外の投機筋が乗っかって日経平均もドル円も大きく上がったことは記憶に新しいところです。
しかし今回の自民党総裁選はあくまで自民党内の総裁選びで、その後に総選挙となりますから海外メディアでもそれほどこの総裁選に関心が高まっている訳ではなく、残念ながらこの結果だけで為替相場が大きく動くとは考えられないのが実情となっています。
冷静に思い返してみますと第一次安倍政権で安倍氏が辞任してから2012年末にその安倍氏が再登板するまで日本はほぼ1年に一度総理が変わるという米国メディアに言わせれば回転ドア状態を続けてきた経緯があり、その間だれが総理になっても知名度は乏しくそれでドル円が大きく買われるといったことは一度もなかったのが現実です。
今回、菅首相の事実上の辞任宣言となる総裁選出馬見送りのヘッドラインが踊ってもドル円の下落はわずか20銭足らずで長期政権だった安倍氏の突然の辞任による相場のドル円下押しに比べればほとんど市場が興味をもっていない、アルゴリズムすら反応しない材料となってしまっています。
今回名乗りを上げている4人の候補者も世界的な市場では知名度は全くなく、誰が選ばれたらドル円上昇、逆に誰が勝ったらドル円下落かといった繊細な話にはなりそうもないというのが現状の見立てになります。
むしろ動くとすれば総選挙の結果か
自民党の総裁選はとりあえず自民党という政党の看板が変わるだけの話ですから、やはり動きがあるとすれば10月末なのか11月なのかわかりませんが、総選挙の結果ということになりそうです。
ただしこちらも劇的にドル円の動きを左右するようなことになるかどうかは怪しく、むしろ金融市場では黒田日銀総裁が早期に辞任することのほうが相場に与える影響が大きそうで、黒田バズーカ終焉が確認されれば株も含めて相場が大きく巻き戻しになることを心配しなくてはなりません。
足もとの世界の株式市場や為替市場はアフガニスタン問題でも中国恒大集団の件でもほとんど動かない状況ですから、本邦の政治状況が劇的に変化しない限りは為替に具体的な影響がでることを期待することはどうもできそうもないというのが正直なところで、残念ながらそれだけ国際社会における日本のプレゼンスというものが低下していることを強く感じさせられる状況です。
ここのところ為替市場は米国FRBの金融政策が緩和から変更するかどうかに大きな注目が集まっており、それ以外の材料にはほとんど相場が反応しないという得意な状況を継続中です。
ただここから突然相場が動き出す材料が飛び出してくる可能性は否定できず、引き続きリアルな祖揖場状況を常にチェックしていくことが重要な時間帯となっているようです。