10月第三週ドル円はついに114円台を突破してテクニカル的にはさらに上値を試しそうな雰囲気になってきました。
またクロス円もトルコリラを除けば猛烈に堅調でやり過ぎにも見えるほどの上昇を果たしています。
総じて言えば円安という状況ですが、それにはいくつかの訳がありそうです。
ドル円に関しては新興国からの資金の引上げに絡むドル需要、ドルキャリートレード終焉に絡むドルへの資金回帰、ヘッジファンドの45日ルールがらみの巻き戻し等複合的な理由がドル円を押し上げる支えとなっており、そこにテーパリング実施で米債金利が上昇してきたことが大きな要因となっているようです。
またクロス円は豪ドル、NZドルを中心に米株の上昇下落に追随しやすい通貨ペアが米株堅調に加え、原油価格の高騰が寄与して対円で大幅に上昇していることが大きな要因となっています。
いずれも10月のシーズナルサイクルとしてはかなり異例な状況ですが、これがそのまま年末相場まで継続するのか、例年並みに10月末までに一旦下落する機会が与えられるのかに関心が集まります。
かなり上昇したドル円はさらに上昇できるかがポイント
ドル円は雇用統計前後の上昇の起点である110.800円からすでに3.6円近く上伸しており、日足のボリンジャーバンドでもすでにプラス2σを超え始めていますが、過去のドル円の動きからするとプラス3σの115.810円レベルまで上昇するのはかなり厳しく、しかも115円には相当なレベルのノックアウトオプションや仕組み債が用意されているようなので、簡単に115円を抜けていけるかどうかが非常に大きな注目点になりそうです。
時間的な経過から見ると今回のドル円の上昇トレンドはまだ若い状態で、最低でも11月中盤までは上昇余地があると考えられますが、上昇のスピードが速かっただけにこのまま上値を青天井で試す可能性は低く、一定の調整は想定しておくべき状況に見えます。
ただ現状では112.800円を下抜けない限りまた年末に向けて上昇することが想定されるため、押し目は買い場になることも意識しておきたいところです。
いずれにしてもドル円としては珍しく短時間に勢いの強い相場を示現してきているので戻り売りは相当プライスアクションに注意しながら行う必要がありそうです。
ユーロドルは下落が一息ついているように見え戻りに注意
ユーロドルは米債金利の上昇に合わせるようにここのところ大きく値を下げる動きとなっていますが、先週末の段階でテクニカル的には一旦下げ止まった感もあり、さらに再下落となったとしても1.15レベルが底値になりそうな状況です。
ドル円だけ見ているとドル高が圧倒的ですが、直近ではドルストレートではドル安に転じていることからユーロドルは一定の戻りを試す可能性が出始めています。
本来ユーロドルの上昇は11月末からが本番となるのでそれまでは当分上下動を伴う動きが継続することになるのかもしれませんが、ドル円やクロス円に比べると一方的にユーロ安とはならなそうな状況で、ここからの相場の動きをよく観察することで先の取引を考えていきたいところです。
クロス円は想像以上の堅調性を維持できるかが注目点
円安の影響で大きく上昇したのがクロス円です。
クロス円、ポンド円、豪ドル円、NZドル円は4時間足のチャートで見るとほぼ同じような形状をしており、ドル円の上昇にあわせるようにかなり大きな上昇を果たしたことがわかります。
ボリンジャーバンドで見ると完全にバンドウォーク中であり、ドル円同様これがどこまで堅調さを維持できるのかが大きなポイントとなります。
シーズナルサイクル的には豪ドル円やNZドル円は10月中にそれなりの押し目を作って年末に向けて上昇することになるのですが、今年はそうした押し目を待たずに上昇してしまう可能性もあるだけにここからは相当な注意が必要です。
ただし反転した場合には絶好の買い場になる可能性もあるので、どうチャンスを活かしていくかは利益獲得の大きな勝負の分かれ目になりそうです。
ファンドも稼ぎ時の秋相場とあって為替は10月に入ってから活気があり勢いづいています。
ただ大きく上昇した後には調整する局面もあるので、常に断定や過信をせずにリアルな相場の動きを注視しながら取引を行うことが肝心な一週間です。