6月第四週の先週、142円台にまで上昇したドル円は142.500円で頭を抑えられるような動きで推移しましたが、週末に向けて明確にこのラインを上抜ける動きとなり、金曜日のNYタイムには143円台後半にまで値を上げて143.700円レベルで週の取引を終えています。
NY市場スタート時にはボスティック米アトランタ連銀総裁が年内の利上げ見送りを支持したことが相場の重しとなり、一旦は142.700円レベルまで下押しする場面も見られましたが、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が今年あと2回の利上げは非常に妥当な予測とボスティックとは全く正反対の発言をしてパウエル支持にまわったことから、相場は大きく上昇する展開となりました。

Data Tradingview

パウエル議長の上下両院の議会証言でFRBは一旦利上げを停止してもさらに年内2回の利上げを実施することが示唆されたことから、日米の政策コントラストはさらに明確な違いを示現することとなってきており、ここから特別な材料は円キャリートレードの巻き戻しがおこらない限りドル円はまだまだ上昇方向に動きそうな状況となってきています。
すでに先週金曜日段階で143円すれすれまで上昇している相場なので週明けに145円を目指すことになるのはどうやら間違いなく、日本の金融当局の牽制発言リスクを抱えながらどこまで上伸できるかが大きなポイントになりそうです。
昨年の相場の上昇段階では145円あたりまでは特に強い抵抗線もないままに上昇しているため、144円を越えればその上昇が一気に加速することも十分考えられます。

投機筋は日銀は当面何もしないと予測

FOMCならびに日銀政策決定会合を通過し、投機筋は日銀が当面なにも政策変更しないまま時を稼いでいくと見立てているようで、しかも介入も実際にでてくるのは150円を越えてからとかなり高を括っている状況が窺われます。
レートチェックがではじめたらいよいよ介入の危険性が高まるものの、それまでは押し目は買って上に向う相場を取りこぼさないようにしようとしているようで、この発想が市場にあるかぎりドル円はまだまだ上昇しそうです。

1日70銭以下の相場変動であれば一週間5営業日でスピード感なく3.5円程度上昇もあり得るので、意外に早いタイミングに150円に到達してしまう可能性も考えておく必要があります。
本邦財務省はあくまで為替介入の条件は急激なドル高円安の示現としており水準感で介入はしないとしているため、じり高を続けながら相場が上昇した場合手だし出来ないことになり、ここからの相場の変化のスピードにも注目していきたいところとなってきています。

ユーロドルは経済指標悪化を受けて一旦レンジ相場に逆戻りか


ECB理事会の結果を受けて強く展開することになったユーロですが、23日に相次いで発表されたユーロ圏の経済指標は軒並み低下し経済が鈍化傾向にあることが明白となりました。
これを受けてユーロは対ドルでも大きく下落に転じることとなり上昇は一旦停止となっています。
下落と言う点では同じく大きく下げたのが好調だったユーロ円で、ドル高ではない状況下でユーロ安だけが顕在化したことから当然ユーロ円は大きく下げる展開となり、ドル円もそれに引きずられて下げる場面が金曜日に見られることとなりました。

ユーロ円23日の推移

クロス円はドル円の上昇と正相関で動いていますが、ユーロが弱含むとそれを起因して自律的に下げる局面に見舞われることもあらかじめよく理解しておきたい状況です。
ここのところユーロ円は堅調であっただけにいきなりの下げで損切を食らうことになった向きも多かったようですが、市場には常に変化が訪れることを意識しておかなくてはなりません。

トルコリラ円は市場予測を下まわる利上げで大きく下落というまさかの展開

トルコ中銀は6月22日の日本時間の夜8時に政策決定を発表し政策金利を15%に引き上げることとなりましたが、問題は市場の事前予測の20%超を大きく下回ったことから噂で買って事実で売るといった典型的な状況に陥ってしまい、利上げ前よりも価格が下落するというかなり悲惨な状況に直面しています。
恐らくこの先も利上げは続くと思われますが、前年比で50%以上のインフレ国なのでこの程度では焼石に水の状況で市場参加者の期待とは裏腹に大幅下落を喫することとなってしまいました。
スワップ狙いでロングにする個人投資家が実に多いのがこの通貨ペアの特徴ですが、ここまで価格自体が下がってしまうとスワップも全く意味のないものになるため、やはり取引すべきではない通貨ペアであることが改めて鮮明になってきています。


週明け相場は欧米では2023年度の半期決算の時期となることから株、債券、為替を含めて様々なリバランスが出てくる可能性が高まります。
ドルのレパトリということになればドル高になりますが、円キャリーの解消となった場合には逆に円高になるので、28日から30日に向けてはロンドンフィキシングで異例の動きが示現することにも気をつけておきたい週となります。