8月相場もすでに半分を消化し、ここからは秋相場も意識していかなくてはならない状況となりました。
ただ今年の8月相場は株も為替も過去20年程度の相場の動きとは全く異なる動きをしており、シーズナルサイクルやアノマリーといったものがひとつとしてワークしない状況に陥っています。
まだ半月残っているので月足で言えば多少月初より下げて終わる可能性もあるかもしれませんが、それにしても株の日経平均やドル円、豪ドル円、NZドル円などの動きは過去20年のそれとは明らかに異なっており、これをどう評価するかが大きな視点になりつつあります。
日経平均は下手すれば9月に3万円到達か
例えば株では本邦個人投資家にも常に注目される日経平均ですが、例年であれば7月に高値をつけたあと8月はどうしても取引額が減少し、じり安傾向が続き9月に入って初めて上方向に戻りを試す動きをすることが非常に多いのがある種のシーズナルなアノマリーとなってきました。
上のチャートが過去20年あまりの日経平均の動きの平均値を示したものですが、今年は7月20日あたりから逆に上昇し始め、8月相場であるにも関らず高値を狙いにいく動きが顕在化しています。
下落確率が過去20年で8割近かった日経平均相場ではこれは相当異例の展開で、円安を背景にして不安定な米株相場よりも外人勢が日本株に資金を投入してきていることが見え始めています。
7月後半からのチャートもご覧のとおりとなり、売りが得意なファンド勢もこれでは売ってもロクに取れないことを観念したのか完全に上昇基調にのっており、下手をすれば3万円にも手が届きかねないところに位置していることがわかります。
ドル円もお盆前後の円高は全く起こらない
実はこのシーズナルサイクルが全くワークしないのはドル円でも同様で、通常8月は実需の取引が先細りする上に、米債の利金の円転などが進んで円高がかなり進みやすい時期となります。
このチャートでは円高が上方向に動いているため、実態とかけ離れていることは一目瞭然です。
実際月初からのドル円の動きを見ると、8月に入ってから大きく値を下げたもののそれからは上下動を伴いながらもドル高方向に復帰しようとしていることがわかります。
為替相場のことなので、ここから円高に振れて8月相場を終える可能性が全くないとは言いませんが、例年のような明白な月半ばでのドル円の下落という動きを見ることは出来なさそうです
市場の期待を外した豪ドル、NZドルの動き
この夏のシーズナルサイクルで市場の期待を最も外すことになったのが豪ドルとNZドルの動きです。
オセアニア通貨は例年8月になると毎年大きく値を下げるのがアノマリーになっており、その勝率は8割を超えるためプロの投資家でも売りを検討するのが常になっていました。
しかしフタを開けてみると対ドル、対円でも豪ドルもNZドルも大きく値を下げることはなく、完全にシーズナルサイクルがワークしない年となってしまいました。
シーズナルサイクルがワークしないということが示唆するものとは
このように8月のシーズナルサイクルが全く当たらないというのは10年に一回位は発生するものですが、こうした状況をどう読み込むかが重要になります。
例年のサイクルよりかなり強く相場が動くということは、強く動く方向に更に上昇する可能性があり、シーズナルサイクルとは逆の発想で強い方向について行くことも検討すべき状況だということです。
サイクルと実態が合致しないことを嘆くよりも、強さを確認してトレードすることに勝機があります。
とくに、8月相場に限らず過去2か月ぐらいの実態相場がシーズナルサイクルとかけ離れて強く展開するような場合は上昇がクラスタ化している可能性もあり、アノマリーにこだわらずに動きのあるほうについて行くといった柔軟性を持つ必要もありそうです。
また、利上げが行われる通貨はやはり根底に強さを発揮するものがあるようで、この視点でそれぞれの通貨ペアを再度確認してみる必要もありそうです。
9月相場はまさに投機筋も決戦の時期になるので、個人投資家もこのタイミングで相場をじっくり観察することが重要です。