米国では8日中間選挙が実施されます。
結果がすべて判明するには数日の時間がかかりそうですが、毎回上院でも下院でも与党の数が減って議会運営に大きな変化が訪れるのが米国という国の習慣になっているので、恐らく今回の選挙でも民主党は議員を減らすことが予想され、場合によっては議会運営が激しく困難な状況に陥ることも予想されるところです。
バイデン大統領は今回の選挙で大敗すれば2024年の次期大統領選には出馬意思がないことも示唆しており、前回落選したトランプ氏も15日には重大な発表を予定しているため、この先の大統領選にも大きな影響を与えることになりそうです。
そんな中で金融市場が期待するのはポスト中間選挙での米株の上昇相場となります。
実はこれには米国市場では驚くほど強い期待が高まっており、ウォール街でもそれを口にするプロの投資家が増えています。
なぜか強いアノマリーである中間選挙後の米株上昇
米株市場では与党が負けて議席数を減らしたとしても、なぜか米株相場だけは堅調に推移するというアノマリーが定着しています。
実際過去50年近い中間選挙年の相場を見てもこうした傾向は顕著で、確率的にも十分にワークするものがあります。
なぜこうした状況が中間選挙後に毎回示現するのかははっきりしておらず、まさにアノマリーとしかい言い様がないのですが、悪い材料が一気に出たことで相場があく抜けすることが年末に向けての再上昇の原動力になっているのではないかといった見方もあり、必ずしも無視できないものとなっています。
それに加えシーズナルサイクルとしても10月後半から12月初旬にかけて米株は上昇し易い季節であり、とくに感謝祭を挟んだラリーやその後のクリスマスラリーに期待して買いをいれる市場参加者が非常に多いです。
このままいけば今年も同様の動きが期待できるでしょう。
下のS&P500のシーズナルチャートサイクルを見ても過去20年この時期の相場は確実に上昇していることがわかります。
実はドル円も中間選挙の後は上昇し易い傾向がある
米国中間選挙後の上昇アノマリーというのは、実は株だけではなくドル円にもあてはまる年が多くなります。
ドル円も元々11月から12月にかけては上昇しやすいシーズナルサイクルとなるので、それに中間選挙の特殊なアノマリーが上乗せされていくということが考えられます。
このチャートでは上方向が円高なので、12月に向けては確実に円安ドル高が進むであろうことが窺われる状況です。
今年が例年の中間選挙年と異なるのはインフレ進行でFRBが利上げ途上であること
ただし、今年の中間選挙年は例年とは大きく異なるファクターが走っています。
それがインフレ対策のFRBの利上げであり、足もとでは12月のFOMCで利上げ幅が50ベーシスポイントに低下するのではないかといった期待も高まりを見せているものの、利上げが終了した訳でなく年明けもこれが低いところで継続することになれば株価に与える影響は少なくなく、このまま例年のアノマリー通りに米株が上昇するのかどうかが大きな注目点となりそうです。
今の相場は楽観的に動きやすいようで、悪いことはできるだけ気にせず市場の都合のいいような解釈で相場が動くことが非常に多くなっていますが、このコラムでもすでにご案内しておりますようにリセッションの恐怖も日々高まりを見せ始めています。
なので、市場参加者が期待するほどの株価の上昇が年末に向けて見られるのかはまだ良く分からず、本当にこうした動きが出始めるのかどうかを確認してからエントリーするといった用心深さが必要になりそうです。
実際米国は2週間後の11月23日に感謝祭が行われるためその週の後半は動きはなく、その後は一気にクリスマスに向けての相場ということになるので取引できる時間帯も相当制約されることになります。
相場に乗るなら14日の週からのトレードチャンスを待ちたいところです。