韓国ウォンの対ドルレートの下落が止まりません。
すでに10月13日ザラ場で1ドル1200ウォンを超える下落となり、とうとうデフォルトの危険水域を突破しました。
足もとでは一旦戻してはいますが、さらにこの水準を上抜けて国として危険な状況に差し掛かりかねないところまで来ています。
韓国の中央銀行である韓国銀行は、為替介入により過剰なウォン安を阻止するといった声明を出していますが、果たしてそれで食い止められるのかどうかが大きな注目点になります。
韓国はドル建ての債券が非常に多くなっているので、金利の上昇に加えてウォン安が異常に進んだ場合想像以上にデフォルトリスクが高まることになり、それが現実のものになりそうなところまで来ているというのが1ドル1200ウォン水準の原因です。
韓国の場合ご存じのとおり加工貿易国として有名で国の成長は輸出にかかっているのですが、新型コロナの影響で原料の輸入がうまくいっておらず当然輸出にも支障が出ており、さらに米中の貿易紛争にも影響を受け米国から半導体やディスプレーなどに大幅な関税をかけられているので、対米輸出もままならない状況に陥っています。
韓国企業の業績は一段と悪化の一途を辿っており、上場企業の約半分近くがリストラを実施し若者に失業者が激増していることも非常に注目される点です。
こうした問題にうまく対応できていないのが発足から既に4年を経過した文在寅政権で、的確な経済政策を打ち出せない中で北朝鮮との統一などを大きな目標にしており、日本に対しても非常に厳しい反日対応を繰り広げています。
本来隣国のデフォルト騒ぎとなれば非常に関心を引く事態なのですが、国内ではこうした報道は限定的で、肝心要の米国からもあまり興味を持たれていないという危ない立ち位置にあることがわかります。
韓国の大統領選挙まであと7か月ほどで文在寅が再選されるのかはわかりませんが、ややもすれば大統領が交代する前にデフォルトに陥る可能性も出始めているのです。
為替には深刻な影響が出る危険性
為替という視点で見た場合には対ドル対円でさらに大幅なウォン安が示現することになると思われますが、ドルも円も高くなることからドル円にはあまり影響はないことが想定されます。
むしろ問題は新興国通貨やクロス円で円高が急激に進むリスクで、1998年の同国のデフォルト危機の際にはアジア通貨危機も起きているだけに周辺国に対する影響も危惧されるところです。
クロス円全般に円高が進めば足もとの上昇が一気に否定される動きとなるだけに相当な注意が必要となりそうです。
韓国民の個人債務の膨張破綻リスクも大きな問題
我々個人投資家がもうひとつこの国で気にしなくてはならないのが国民の中の20代、30代の猛烈な個人負債の膨張の問題です。
韓国に詳しい向きに言わせれば国のデフォルトより個人負債に破綻のほうが先に来るのではないかと言うぐらい恐ろしい話も飛び出しています。
上場企業の47%がリストラを敢行し、韓国のいわゆるミレニアル世代は多くの人々が失業していることから、借金で一攫千金をめざして為に株や不動産、仮想通貨などへの投資を行って生計を建てています。
こうした若年層の個人負債は260兆ウォンで年間の所得の倍を超える額になっており、流石に見過ごすことのできないところに陥っていることがわかります。
これで国のデフォルト騒ぎから株が大幅下落という事態に陥った場合、たくさんの若者が投資をしていると言われるビットコインにも資金確保のための未曾有の投げ売りがでる危険性は高く、それが起因してビットコインの大幅下落が示現するリスクも高まります。
多くの国民が個人のレベルで破産するような状況になれば国のデフォルトを凌ぐ大問題になりかねず、こちらも相当注意しておく必要がありそうです。
こうした危機的な状況を日本メディアは殆ど伝えておらず、相場のアルゴリズムもまったくケアしていないように見えますが、ひとたび問題が露見すれば大きなリスクオフの動きになることも十分にありえるので引き続き厳重注意を怠らないようにすべき時間帯です。