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市場が異常とも思えるくらい関心の高かった米国FOMCの政策決定内容が5日午前3時に発表され、市場の事前の予想どおり50bpの利上げと6月からのバランスシートの縮小が決定されました。

その後会見に登場したパウエル議長は、足もとの経済はインフレ目標2%に下げるための金融引き締めを行うのに十分に強さを発揮しているとして、さらに引き締めを続けることを示唆しています。

具体的には今後2回のFOMC会合において50bpの利上げを行う可能性があることに言及しましたが、その一方で75bpの利上げを検討する意味はないとも述べ、これを受けてドル円は大きく失速し128.600円レベルまでの下落を見ています。

一方で米株市場は材料出尽くしと見たのか大幅な買戻しで取引を終了しています。

ただクロス円では引き続き円安が進み、対円ではドル円以外のほとんどの通貨が上昇するという乖離した動きが見られることとなりました。

FOMCの結果発表は結局のところ材料出尽くし感を作ったことから大きな買い戻しになりましたが、これで株価の下落、米債金利の上昇、さらにドル円の過去2か月の大幅上昇が終わったとは思えず、とくにドル円については日米の金融当局の政策内容がFOMC開催のたびに離れていくことが決定的になったので、まだまだ上昇しそうな局面に入ってきていることがわかります。

当面調整局面で推移したとしても、早晩135円から上を目指した動きになることには相当注意が必要です。

米株は本当にこの先下がらないのかが大きな問題

75bpという急激な利上げは行わないことをパウエル議長が示唆したことから米株市場はそれを好感して大きく買い戻しをしていますが、金利の上昇は継続的に実施されるので、リーマンショック後今回が初となる本格的なバランスシートの縮小が始まる中で、果たして米株市場が息を吹き替えすことができるのかどうかに大きな注目が集まることになりそうです。

2008年以降はFRBのバランスシートが拡大するのと相関するようにS&P500の株価も上昇してきており、資産縮小が進むなかで再度米株が下落に転じる危険性は否定できません。

実際パウエル議長もこの資産縮小の効果は不透明であるとしており、やってみないとどうなるかよくわからないと言うのが正直なところのようで、株価が大きく下げるようであれば一旦停止するという可能性も高まることになります。

ブレーナードの特異なインフレ対策理論をやはり口にしたパウエル

ようやく正式に議会承認を得てFRB副議長となったブレーナードは、今年の4月あたりからこれまでの超ハト派発言から一転して驚くべき政策を口にし始めています。

どうやら不景気を人為的に作り出すことでインフレ退治をしようというのが彼女の理論で、企業が求人数を減らす余地は十分にあるとし、企業が大規模なレイオフに踏み切らずに求人を減らすことで、労働需要が低下する余地は大きいとしています。

そして賃金の上昇を抑えることでインフレを低下させ、しかも景気回復を持続させていく最良の方法がこれだといったことを言い出しています。

今回会見の中でパウエルも失業率を上昇させることなく労働市場の需要を緩和させる方法があるとほぼ同種の発言をしていますが、労働需要を減らすことで労働力の低下を実現させることなどできるのかどうかも今後の大きなポイントになりそうな状況です。

FRBにしてもイエレン財務長官にしてもソフトランディングでこのインフレを制圧させることに強い自信を示していますが、クリントン政権の財務長官であったローレンスサマーズはハードランディングは避けようがないという見方を示しており、ここからの経済の見立てはかなり異なっているのが実情です。

果たして今後どうなるのか引き続き注視していきたいところです。