いよいよ2022年の取引も12月半ばに突入し、12日からの一週間がクリスマス前実質最後の取引週となりそうな状況です。
すでに利益をあげているファンド勢などは休みに突入しており、市場参加者はかなり限られそうですが、流動性のない中で突然大玉の取引が出ると相場は大きく乱高下することが予想され、相当な注意が必要になりそうです。
また、16日が終われば市場参加者はさらに激減することになるので、
しっかり保有ポジションの手仕舞いも視野に入れた取引をしていくことが求められる一週間です。

注目は米国の月次CPIとFOMCの政策発表

週明け相場のポイントは二つとなります。
一つは13日に発表となる米国の月次CPIで、先月同様市場の予想よりも下まわる数字が出た場合にはまたネガティブサプライズということで米債金利が急激に低下、それに相関するようにドル円には相当な下押し圧力がかかるものと思われます。
ただ先週末である9日に発表された11月の米生産者物価指数・通称PPIは市場の事前予測を上回る伸びを示して根強いインフレ圧力が浮き彫りとなり、2023年に向け米金融当局の利上げを後押しする格好となっていることから、PPIを追うことで知られるCPIについても11月は再度強い数字が発表される可能性が高まっており、インフレが終息していないとなれば債券金利は上昇、ドル円もFOMC前ながら大幅上昇に転じる可能性が高まります。
週末のドル円の取引水準から考えると132円から138円位までの値幅の動きがでることが考えられ、逆張りでその動きに巻き込まれないように相当な注意が必要です。

またさらに乱高下となりそうなのが二つ目の日本時間15日の午前4時に発表される12月のFOMCの政策発表です。
市場はすでに50ベーシスポイントの利上げを完全に織り込んでいますが、それ以外にドットチャートで2023年の政策金利見通しを9月時点の4.625%から5.00%前後へ上方修正をさらに超えるような示唆があればドル円は買いで反応しそうで、これまでのように大きな上昇には至らない可能性もありそうです。
市場の事前想定を超えない程度のパウエル議長の発言があれば逆に手仕舞い売りが出ることも考えられるので、方向をあらかじめ断定することだけは避けたい状況です。
いずれにしても政策発表の午前4時からその後のパウエル会見午前4時半~5時半あたりにかけて発言内容を巡って相場が一時的に乱高下することは間違いなく、この時間にはポジションを持たないようにするといった自衛策を考える必要もあります。

FOMCを通過すると市場参加者はさらに減ることになり19日の週はほとんど動かない時間になりそうなので、ポジションを多くとりすぎて結局取り残されるといった状況に陥らないようにすることも重要です。
ドル円に関しては重要イベントを前にして上に戻す動きを見せていますが、さすがに140円を超えるほど大きな相場の回復は見られず、短期の投機筋が上げたり下げたりする方向感のない、しかもやりにくい相場を続けることになりましたが、週明け大きなイベントを通過してどうなるかに注目が集まります。

Data Tradingview

ユーロドル相場は上昇を意識した動きとなるか

一方FOMCを通過した15日には年内最後のECB理事会が開催されます。
市場の関心は当座の利上げの幅とともにこの先の利上げスケジュール、量的引き締めに対する見通しなどに集まることになりそうですが、ラガルド総裁の会見ではハト派的な雰囲気が漂うことも多く、一旦ユーロ売りが出るリスクも考えておく必要がありそうです。
ただその後は一転してユーロが買われる可能性もあるので、こちらも先行きを断定せずにフレキシブルに対応していきたいところとなります。

ユーロは年末に向けては例年ドルに対して買われる傾向が強くなるのでFOMCの結果次第の相対的な関係ではありますが、さらにユーロが上昇してクリスマスを迎えることも想定しておくべき状況です。
先週のユーロドルは重要なイベントを控えて全く方向感が感じられませんでしたが、FOMC、ECB理事会を経てレンジから抜け出し上昇に転じられるかどうかに注目すべき一週間です。

Data Tradingview

12月シーズナルサイクル通りに動いているのは対ドルでのNZドル

Data Tradingview

今年は総じて相場のシーズナルサイクルがワークしない特異年となってしまいましたが、ドル円などが例年と全く異なる動きを延々と継続する中にあって、NZドルは対ドルでは年末に大きく上昇するというシーズナルサイクルを見事に再現する動きを見せています。
本来であれば豪ドルも似たような動きをするはずですが、今年に関してはNZドルがダントツでしかも対円ではなく対ドルでそのトレンドが強くでていることが大きな特徴となっています。

ここ3か月で明確な上昇トレンドを描いており、ここから年末どこまで上昇を継続するかが非常に気になりますが、クリスマス明け年末ぎりぎりまでこうした動きがでることを期待したい状況です。