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3月に入ってから、日銀の政策決定を巡る相場の動きに違和感を覚えたトレーダーも多かったのではないでしょうか。

3月6日から下落し始めたドル円がわずか5日で4円もの円高に振れたものの、翌週その流れは一転し下値を切り上げる展開となりました。

誰もが日銀の政策変更があれば円高に振れるものと確信していたとみられますが、会合が近づくにつれ下がるどころか逆に上昇するという異質な動きを演じることとなりました。

多くの個人投資家が首をかしげる事態となったわけですが、これこそが為替相場の構造であると言えるため、その理由をしっかりと理解しておく必要がありそうです。

ポジションが傾きすぎるとそれ以上下がらないのが為替相場の構造

そもそもこの不思議な相場の動きは、多くの市場参加者が次々とリークされる日銀観測報道により、マイナス金利解除がいよいよ実施されるものと確信したことにより加速しました。

3月初旬、相場はあくまでも市場の予測に基づく動きを見せていましたが、観測報道を受けドル売り円買いポジションが一気に増加することとなりました。

しかし、会合結果が発表される19日までにはまだ時間があったため、必要以上に円買いポジションが増えてしまったことが下げ止まりの原因となったようです。

先週は、円高シフトと確信した多くの投資家がドル円の戻り売りに挑むことになりましたが、連日東京タイムで無理やり下押ししようとしても下値は切り上がるばかりで、ロンドンタイムの前に激しいショートカバーが発生する結果となりました。

早い段階でこれ以上下がらないことを見抜いた向きは、流れに乗って応分の利益を稼ぐことができたのですが、19日を待てば必ず取り返せると盲信してしまった向きは損失が膨らむ事態となり、その差が明暗を分けたようです。

とうとう15日の金曜日には、ユーヨークタイムで149円台まで値を戻し、週明けも値を下げることなく日銀会合を迎えることとなりました。

日銀からの執拗なリーク報道も円高阻止の材料に

今回日銀は、政策変更を行うにあたりメディアへの過剰なリークを行うことで、市場がパニックを起こさないよう制御したものとみられます。

日銀は公的機関であるため、本来特定の媒体だけに政策決定内容をリークすることは本来あってはならない話であり、これを公然と行っている事に対し何のお咎めもないというのは違和感を覚えます。

まずブルームバーグを皮切りに、時事通信、日経新聞という定番のメディアに次々とリークすることで、日銀の会合を前にすべての変更内容が筒抜け状態となりました。

市場はもはや日銀の観測報道に飽き飽きしており、相場を動かす材料としてもその存在は薄れつつあります。

各報道機関が観測報道を行うのは自由ですが、日銀関係者が日経や時事通信、ブルームバーグなどだけを選んでリークを行うことは、他の主要中銀行でも滅多に見られないもので異常な事態と言えます。

これが日銀の戦略として行われたものなのか、一部の関係者がリークしているものなのか詳細は不明ですが、情報の出所を調査すべき段階に入っているのかもしれません。

円高局面でその動きが阻止される理不尽な展開も

先週は、ドル円が値を下げたところで売りポジションを持ち、損失を被ってしまったというトレーダーも多いことと思います。

146円割れが見えたところから3円以上も上昇する相場展開となったため、損切りを我慢し強制ロスカットに引っ掛かってしまったという方もいるかもしれません。

相場では市場参加者の保有ポジションが傾きすぎると、今回のような状況が発生する場合があります。

テクニカル分析では下に動きそうな状況であっても、多くの参加者によりその動きが阻まれるという理不尽な相場展開があるということも、十分理解しておく必要がありそうです。