ドル円は11月から2か月半ぶりに150円台に上伸しており、日本株もこれを好感し、海外勢による指数取引や日経225の特定銘柄に対し買いが殺到する展開となっています。

足元ではバブル期の史上最高値にも迫る勢いとなっており、新高値更新ももはや時間の問題と思われる状況です。

 

これまでの日経平均株価の動き

 

34年ぶりに史上最高値を更新することは嬉しい知らせではありますが、34年前に指数取引を行い塩漬け投資を行っていた投資家にとっては、何の投資妙味も無かったことになります。

NYダウも、この期間に15倍近くの跳ね上がりを見せていますが、デリバティブで相応のレバレッジをかけ取引を行っていた場合、過去何回か発生した相場暴落により大きな損失を被っていた可能性もあります。

こうしてみると「バイ&ホールド」という投資戦略が、リスクの高い方法であることを改めて感じさせられます。

いずれにせよ、日銀がこのまま緩和政策を継続するか、財務省が為替介入でドル円の水準を無理に押し下げない限り、この状況はしばらく続きそうな状況となっています。

150円超えも過熱感はほとんどないドル円相場

2か月半ぶりに150円台まで水準を戻したドル円ですが、今のところ151円台を試す動きは見せておらず、150.800円レベルで頭を抑えられ、インフレ経済指標に低い数字がでるたびに、150円台に押し戻される動きを継続しています。

 

ここ1年のドル円の動き

 

海外の投機筋の性格から言えば、ここまで上昇したドル円が151円台以上を試しに行くのは時間の問題と思われます。

しかし151円台を突破したとしても、FRBの利下げ時期が後ずれし過熱感のない相場状況が続けば、152円は超えず自律的に下落するのではないかとの見方もあります。

日本の財務省は今のところ即座に実弾介入してくる構えは見せていませんが、ここからさらに相場が上昇すれば、口先介入の頻度が高まることは間違いないため、ここから3月の年度末に向け神経戦はまだまだ続きそうです。

足元では円安が日本株買いを加速させ、上昇した日経平均がドル円をさらに押し上げるというスパイラル構造が形成されており、緩和継続を強く望む米国政府の意向がある以上、金融当局はなかなか介入しにくい状況であることが窺えます。

日銀のマイナス金利解除かFRBの利下げがドル安転換のきっかけとなるか

日銀関係者ならびに正副日銀総裁の発言により、日銀が今年の3月ないし4月にマイナス金利を解除し0.1%の利上げを行う可能性が、いよいよ現実味を増していますが、その後継続的な利上げは行わずに様子見となれば、ドル円を押し下げる要素にはならないという悲観的な観測も増えつつあります。

ただマイナス金利の解除自体は、それなりに円安を抑止する効果が期待されるため、これにFRBの利下げが重なれば、ドル円は5月から6月にかけて下落相場となることは間違いなさそうです。

米国では、商業用不動産の融資焦げ付き問題が顕在化しつつあるため、FRBが前倒しで利下げを実施する可能性も否めません。

ここからのドル円は、日米金融当局による政策決定が方向感を大きく左右するものと思われます。

日本はテクニカル・リセッション入りが確定

内閣府が今年2月15日に発表した昨年10~12月の国内総生産(GDP)は、2四半期連続でマイナス成長となり、いよいよテクニカル・リセッション入りが確定となりました。

今回の結果は、前期(7~9月)比0.1%減となりますが、この状態が1年続くと年率換算は0.4%減となるため、低下率は予想以上となります。

国内外のエコノミストは、今回1%以上の成長を予測していたにもかかわらず、2四半期連続でのマイナス成長となり、さらに次の四半期もマイナスになることが予想されるため、日本の景気悪化は予想以上に深刻であることが露見する結果となりました。

日銀は短観発表などで毎回、経済は好循環などと耳障りの良い説明をしてきましたが、実際のところ、ここから春闘で賃金の引き上げが行われるのか、また緩和の巻き戻しを行うことができるのかは未だ不透明な状況です。

財務省はこれまで、円安は十分な資金をもって円買い介入すれば即座に阻止できるものと確信してきたと見られますが、円の力が確実に低下しつつある中、暴力的に円買い介入を行ってもこれまでどおりの結果が得られない可能性は高まりつつあります。

足元では、経済指標や要人発言などを受け、それなりの上下動を伴う相場が継続中です。

今週は月曜日が米国のプレジデントデー、金曜日が日本の天皇誕生日で休日となりますが、その合間を縫って、特別な仕掛け売買がでてくることも考えられるため、引き続き用心深い取引きを心掛けたいものです。