ビットコインは4月20日に半減期を迎えたものの、その後価格は低迷しており、一時は下落に見舞われるという市場の期待を裏切る状況が継続しています。
毎回半減期後は、しばらく時間が経過してから価格が吹き上がるため、完全に諦めるのはまだ早いと思われますが、相場状況が異なる今回の先行きは、未だ不透明なままです。
半減期後に相場が急上昇する展開は、ファンダメンタルズによって支えられている訳ではなく、アノマリー的な状況と言えます。
しかし投資歴の長い個人投資家にとって半減期は、長らく待ちわびた状況であるだけに、相場が急騰しなければ大問題になることは間違いありません。
今年3月、現物ETFの上場が承認されて以降、ビットコイン市場には多額の資金が流れ込み、一気に7万ドル超えまで上昇する展開となりました。
多くの市場参加者が、半減期後に8万ドル、10万ドル越えとなることを期待していたものの、ETF市場は低迷が続いている状況です。
ビットコイン市場の変化要因は現物ETFの上場
前回の半減期に比べ、現在のビットコイン市場は大きく拡大しており、非常に高い価格水準で推移していることから、ここから急激に値が上がるとは考えにくい状況と言えます。
さらに、この状況に大きな影響をもたらしているのが現物ETFの売買です。
ETFが導入されたことにより、資本市場からの資金の呼び込みには成功しましたが、他の資本市場に異変が現れると、即座にビットコイン市場から資金が引き上げられる仕組みになており、そのたびにボラティリティは急低下し、大きく値を下げるるという状況が続いています。
一気に5万ドル台に落ちこむという、これまでに類を見ない状況に、市場参加者の不安もピークに達しています。
ビットコインは、株式市場や債券市場の影響も受け易く、最近ではパウエル議長の発言にも大きく反応するようになっています。
ドル建てで6万ドル全半まで回復した状態から、突然5万ドル台まで下落するというボラティリティの高い相場を、ETFユーザーは酷く嫌う傾向があり、一度下げ始めるとそれがきっかけとなり、さらに値を下げるという状況が警戒されています。
こうした状況は、これまでの半減期にはみられなかっただけに、相場状況は大きく変わってしまったことを指摘するアナリストも増えつつあります。
高まる法定通貨の保有リスク、安全資産としての価値が期待されるビットコイン
ご存知の通り、ドル、ユーロ、日本円などの法定通貨は、各国中銀が実施する政策の影響を受けることから、保有するリスクが高まりつつあります。
特に円は、4月から大きく値を下げる状況にあるため、介入を実施しなければ価格水準を保つことができない厳しい現実に直面しています。
世界的に見ると、ドルはまだまだ需要の多い通貨ではありますが、ここ10年あまり市場にバラまかれ続けた結果、インフレは加速しその価値は下がりつつあります。
そのため市場では、金をはじめとする現物資産に資金を預けることで、リスクヘッジしようとする動きが顕著になっており、ビットコインもリスクヘッジの観点から大きな注目が集まっています。
多くのビットコインユーザーが、半減期後の急騰を心待ちにしていることは間違いありません。しかし、安全資産としての価値が評価され、新たな資金が逃避的に流れ込む状況下であれば、
一時的な上昇よりも安定した成長を追求する事の方が重要であると言えます。
日々変化する金融市場においてビットコインは、新たな価値を作り出していく存在であり、今ちょうどその過渡期を迎えているのかもしれません。
市場参加者も、刻々と変化する状況を受け入れ、柔軟に対応していく姿勢が求められそうです。